入院医療機関における在宅復帰率が高まるにつれて、訪問リハビリテーションの需要は確実に上昇している。
その結果、訪問リハビリテーション事業所に加え、訪問看護ステーションから訪問リハビリテーションを提供するリハビリ職種も増加している。
しかし、訪問リハビリテーションに携わるリハビリ職種が増えれば増えるほど、提供される支援の質の標準偏差は広がりやすい。
現場にはレベルの高いリハビリ職種もいれば、レベルの低いリハビリ職種もいるのが実情である。
訪問リハビリテーションにおけるレベルの低いリハビリ職種の特徴の一つに、利用者や家族のニーズを起点にせず、自身が行いたい介入手段を優先して提供する点が挙げられる。
在宅療養を行っている利用者には、さまざまな問題が生じやすい。
疾患から直接生じる問題だけでなく、廃用症候群、生活環境の制約、活動量低下に伴う二次的障害が顕在化してくる。
そのため、介護を担う家族の介護負担は時間の経過とともに増加していく。
例えば、図に示すように誤嚥症状を呈する在宅療養患者は少なくない。
食事量の低下や嚥下時の咳嗽は、家族の見守り、食事介助、対応への不安を増幅させ、介護負担を確実に押し上げる。
加えて、夜間の不眠や再受診への迷いが重なると、家族の疲弊は一気に進行する。
在宅療養患者の課題は時間の経過とともに変化するため、リハビリ職種はその時々の状況を評価し、問題解決または問題緩和に向けて行動しなければならない。
在宅療養患者が抱える多様な課題に対応するためには、リハビリ職種のジェネラリスト化が求められる。
単一領域の技術だけでなく、生活機能、環境調整、他職種連携、家族支援までを統合して考える視点が不可欠である。
専門性が高ければよいというリハビリ職種のロールモデルは、地域包括ケアシステムが推進される社会においては厳しい棘の道となり得る。
求められるのは、専門性を核にしつつも、生活課題に横断的に応答できる柔軟性である。
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筆者
高木綾一

理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
三学会合同呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
国家資格キャリアコンサルタント
株式会社Work Shift代表取締役
関西医療大学 保健医療学部 客員准教授
医療・介護分野の経営戦略や人材育成に精通し、年間100回以上の講演を実施。
医療機関や介護事業所の経営支援を通じて、組織の成長と発展をサポートする。
著書には 「リハビリ職種のキャリア・デザイン」 や 「リハビリ職種のマネジメント」 があり、リハビリ職種のキャリア形成やマネジメントの実践的な知識を提供している。
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