リハビリ部門の上司が組織を守らず、自分のことばかりを考えている人で、もうついていけません!
先日、とある医療法人のリハビリ職種の方から、このような相談を受けた。
話を聞けば、部署のトラブルは部下の責任、成果は上司のおかげという姿勢が露骨で、理事長のイエスマンとして立ち回っているという。
この上司は完全に上司の仕事を履き違えている。
本来、上司の役割は、成果を独占することでも、責任から逃げることでもない。
現場の安全と品質を守り、問題が起きたときに矢面に立ち、再発防止の仕組みをつくることで組織を前進させることにある。
特に、緊急事態や改革の局面では、組織を守るために行動し、必要であれば自らの保身を捨てられる人こそが、理想の上司である。
しかし、臨床現場では、次に示すような上司が少なくない(図)。
部下の不手際を攻め立てる → 自分は何もせず、部下に対応を丸投げする → 自分に責任が及びそうになると逆切れする
このような上司は、誰からも尊敬されない。
尊敬されない上司は、他者に対して正当な影響力を発揮できないため、組織の指示命令系統は機能不全を起こす。
ここでいう影響力とは、役職の強制力ではなく、納得と信頼によって人を動かす力である。
信頼がない状態では、注意喚起は萎縮を生み、改善提案は握りつぶされ、問題報告は遅れる。
結果として、インシデントの芽が放置され、クレーム対応や業務の手戻りが増え、現場の疲弊が加速する。
また、このような組織は従業員満足度が上がらないため、離職率も高くなる。
なぜなら、部下側から見れば、努力しても評価が歪み、失敗すれば責任を押し付けられ、困ったときに守ってくれないという学習が成立するからである。
人は安全基地のない環境では挑戦せず、報連相を避け、最低限の行動に収束する。
この状態は、生産性低下だけでなく、教育の形骸化やチーム医療の分断にも直結する。
上司の役割を認識していない管理職は、まさに組織にとっての病巣である。
しかも問題は、その管理職個人の資質だけにとどまらない。
このような上司を管理職として配置し続ける組織側にも、構造的な問題がある。
保身キャラ上司は、短期的には理事長や経営層にとって扱いやすい。
異論を出さず、都合の悪い情報を上げず、現場の不満を吸収せずに押し込めるため、表面的には統制が取れているように見えるからである。
しかしそれは、情報の流れを止め、現実認識を歪め、意思決定の質を落とす行為でもある。
現場で起きているリスクが上に届かない組織は、気づいたときには大きな事故や炎上に発展している。
さらに、優秀なリハビリ職種ほど、この環境に長居しない。
残るのは疲弊した人材か、適応して沈黙する人材であり、組織の学習能力は失われていく。
保身キャラ上司が出世する組織は、弱体化していく。
それは、組織の終わりの始まりである。
あなたの上司は大丈夫だろうか?
もし大丈夫でないなら、必要なのは個人攻撃ではなく、保身キャラ上司が生まれ、温存される仕組みを断ち切ることだ。
上司の評価軸を、イエスマン度ではなく、現場を守り、問題を可視化し、再発防止の仕組みをつくれるかに置き直す。
そして、部下を守れない管理職を放置しないことこそが、組織を守る最短ルートである。
大丈夫でなければ、保身キャラ上司撲滅が必要だ。
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執筆者
高木 綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
呼吸療法認定士
修士(学術/MA・経営管理学/MBA)
関西医療大学保健医療学部 客員准教授
医療・介護分野の現場経験とマネジメントの専門性を活かし、リハビリテーション部門や多職種連携に関するコンサルティングを全国で展開している。
在宅領域および整形外科リハビリテーションの臨床に長年取り組み、現場の実態を踏まえた実践的な視点を強みとする。
医療機関や介護事業所の立ち上げ支援、教育体制の構築、組織マネジメント支援など、実践的かつ現場に根ざした支援を得意とする。
また、コンサルティング先に加え、リハビリ職種養成校等でも臨床からマネジメントまで幅広く講義を行い、現場で再現できる形に落とし込んだ知見の提供に力を入れている。
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