受講者の信頼を失う「焼き増しセミナー」

全国各地で、リハビリテーション専門職を対象とした研修やセミナーが継続的に開催されている。

現在、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の卒後教育インフラは相当に整備されており、学習機会の選択肢は広い。

それに伴い、セミナー講師として登壇する専門職も増え、受講者は多様な講師・テーマから受講先を選べる環境になっている。

一方で、受講者が不満や違和感を抱くケースが少なくないことも事実である。

その代表的な例が、「セミナーテーマは異なるにもかかわらず、実際の内容が過去の講演と大きく変わらない」という状況である。


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これは、いわばセミナー内容の焼き増しに近い状態である。

筆者も多数の研修・セミナーに参加しているが、「以前と同じ説明が中心で新規性が乏しい」「テーマの狙いと内容が十分に一致していない」と感じる講演に出会うことは多い。

そのような経験が続くと、受講者としては次回以降の参加意欲が低下し、結果として講師や主催者への信頼にも影響し得る。

社内研修においても同様である。

研修テーマに沿って内容を構成するという基本が徹底されていない場合、受講者は学習効果を実感しにくく、研修そのものの価値が下がる。

毎年同一内容を繰り返す運用では、受講者の納得感が得られず、改善提案や行動変容にもつながりにくい。

受講者は、提示されたセミナーテーマや到達目標をもとに、時間と費用を投じる意思決定を行っている。

したがって、セミナーテーマと提供内容の整合性を担保することは、受講者の期待管理と教育効果の観点から極めて重要である。

筆者自身もまた、セミナー講師として登壇する立場にある。

自戒の念を込めて、受講者の目的に即した構成を徹底し、必要な更新と検証を重ねながら、新規性と実用性のある内容提供に取り組みたい。

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筆者
高木綾一

理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
三学会合同呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
国家資格キャリアコンサルタント
株式会社Work Shift代表取締役
関西医療大学 保健医療学部 客員准教授

医療・介護分野の経営戦略や人材育成に精通し、年間100回以上の講演を実施。
医療機関や介護事業所の経営支援を通じて、組織の成長と発展をサポートする。
著書には 「リハビリ職種のキャリア・デザイン」 や 「リハビリ職種のマネジメント」 があり、リハビリ職種のキャリア形成やマネジメントの実践的な知識を提供している。
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