多職種連携を成功させるセラピストの意識:他職種の課題解決に貢献する

多職種連携が推奨されて久しい。

だが、多職種連携は「口で言うほど簡単ではない」。

職種が違えば、目的も評価指標も時間の使い方も違う。

利害関係が異なる者同士が連携するのは、想像以上にハードルが高い。

その結果、多くの医療機関や介護事業所で、多職種連携は形だけで終わっている。

では、多職種連携を成功させるために、セラピストはどのような意識を持つべきか。

結論はシンプルである。

セラピストの評価や技術が、看護師・介護職・家族・介護支援専門員・医師など「他職種の仕事上の問題解決」に貢献することである。

セラピストの仕事は「患者・利用者のため」と説明される。

それは間違いではない。

しかし、それだけでは十分ではない。

なぜなら、現場で連携が成立するかどうかは、
他職種が抱える困りごとが減るかで決まるからである。

極端に言えば、セラピストの仕事は「他職種のため」に存在している。

他職種が動きやすくなり、迷いが減り、手間が減り、安全性が上がり、結果として患者・利用者に返っていく。

これが連携の本質である。

たとえば介護職に貢献できるリハビリテーション技術は多い。

ポジショニング、シーティング、摂食嚥下、福祉用具、トランスファー、認知症対応……。

これらを用いて介護職の業務を支援することは十分可能である。

しかし現実はどうだろう。

介護職の業務を支援するどころか、介護職に「お願い」を増やし、仕事量だけを増やしていないだろうか。

もしそうなら、それは連携ではなく「負担の押し付け」である。

仕事が増える連携が、前に進むはずがない。

連携を進めたいなら、セラピストはまず自問する必要がある。

自分たちの介入は、他職種の困りごとを減らしているか。
自分たちの提案は、現場の仕事を軽くしているか。
「それ、誰の問題が解決するのか」を説明できるか。

あなたの職場のセラピストは、セラピスト以外の職種の業務を支援できているだろうか。

多職種連携の成否は、スローガンではなく、日々の「貢献」で決まる。

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執筆者
高木 綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
呼吸療法認定士
修士(学術/MA・経営管理学/MBA)
関西医療大学保健医療学部 客員准教授

医療・介護分野の現場経験とマネジメントの専門性を活かし、リハビリテーション部門や多職種連携に関するコンサルティングを全国で展開している。
在宅領域および整形外科リハビリテーションの臨床に長年取り組み、現場の実態を踏まえた実践的な視点を強みとする。
医療機関や介護事業所の立ち上げ支援、教育体制の構築、組織マネジメント支援など、実践的かつ現場に根ざした支援を得意とする。
また、コンサルティング先に加え、リハビリ職種養成校等でも臨床からマネジメントまで幅広く講義を行い、現場で再現できる形に落とし込んだ知見の提供に力を入れている。
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