リハビリテーション専門職の就業の流動性は、今後さらに高まっていく。
背景にあるのは、制度の評価軸が「提供量」から「アウトカム・効率・機能分化」へ寄っていることである。
2026年度診療報酬改定に向けた議論では、回復期リハビリテーション病棟の評価見直し(実績指数や重症患者割合、ADL評価の扱い等)が俎上に載っており、病棟の運用次第ではこれまで通りの提供量を維持しにくくなる可能性がある。
また、地域包括ケア病棟・地域包括医療病棟を含む「包括期」の評価は、地域医療構想とも絡めて再設計が進む流れにある。
一方で、在宅・生活期へのシフトは止まらない。
介護領域では、2026年度の期中改定を含めて処遇改善の議論が進み、訪問リハビリテーション等も処遇改善加算の対象に加える方向が示されている。
これは在宅を回す人材を確保するための制度側の意思表示でもある。
さらに、供給構造の変化もある。
理学療法士は会員数だけ見ても全国で20万人規模に達しており、職域や地域によっては「選ばれる側」になる場面が増えやすい。
結果として、以前と比べると転職機会は増え、生涯で3回以上の転職が珍しくない時代へ近づいている。
転職とは、自分が背負っていた勤め先の看板を入れ替える行為である。
多くの人は、勤め先の看板でご飯を食べている。
リハビリ職種が自分のマーケティングで患者や利用者を増やす機会は、構造上あまり多くない。
実際の仕事は、医師やケアマネジャー、病院・施設の紹介・選定の流れの中で発生することが大半である。
したがって、勤め先の看板がなければ仕事が成立しにくい・・そう言っても過言ではない。
そして、勤め先を変えることは、次の看板に再び依存することにもなりやすい。
しかし、それだけでは、勤め先が支払える給与以上の対価を得ることは難しい。
看板を入れ替える機会が増えるこれからの時代に必要なのは、自分自身の名前で信用を創れるかという視点である(図1)。

図1 自分の名前で信頼を創る
有名な理学療法士・作業療法士・言語聴覚士を思い出してほしい。
私たちは、その人の所属先だけで能力を判断しているだろうか。
多くの場合、所属より先に「その人の名前」から価値を想像しているはずである。
自分の名前で、相手に何を想像させることができるか。
あなたの名前は、何を語ることができるだろうか。
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筆者
高木綾一

理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
三学会合同呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
国家資格キャリアコンサルタント
株式会社Work Shift代表取締役
関西医療大学 保健医療学部 客員准教授
医療・介護分野の経営戦略や人材育成に精通し、年間100回以上の講演を実施。
医療機関や介護事業所の経営支援を通じて、組織の成長と発展をサポートする。
著書には 「リハビリ職種のキャリア・デザイン」 や 「リハビリ職種のマネジメント」 があり、リハビリ職種のキャリア形成やマネジメントの実践的な知識を提供している。
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