PT・OT・STのための「学びを活かす」キャリア設計

PT・OT・STをはじめとするリハビリ職種は、他の医療職と比較して自己研鑽に非常に熱心な職種である。

筆者はセミナー事業を行っているが、その姿勢は日々の受講状況からも強く実感している。

また、大手出版会社の調査によれば、PT・OT・STの一人当たりの専門書籍購入数は他職種を大きく上回るという。

しかし、論文執筆、学会発表、セミナー参加といった自己研鑽は、あくまで手段であり、目的ではない

本来の目的は、
・なりたい自分になること
・社会的価値を創出すること
・組織へ貢献すること
・対外的な評価を高めること
などにある。

自己研鑽は、それらを実現するための一つのツールに過ぎない。

キャリア戦略とは何か

手段を目的に結びつけるためには、キャリア戦略が必要である。

キャリア戦略とは、次の式で表すことができる。

目的 − 現状 = 戦略

つまり、自分が目指す姿と現在地とのギャップをどのように埋めるのかを考えることが、キャリア戦略である。

優れたキャリア戦略に必要な視点

有効なキャリア戦略を立案するためには、少なくとも以下の点を明確にする必要がある(図1)。

  • 人生・仕事における目的を定める

  • 自分が担うべき仕事の範囲を定める

  • どの業界・領域で働くのかを決める

  • その業界で価値を発揮するために必要な能力を明確にする

図1 キャリア戦略の基盤となる目的を定める

キャリア戦略の具体例

例えば、次のような整理は戦略として優れている。

  • 人生の目的:在宅リハビリテーション分野の第一人者になる

  • 仕事の範囲:学術と臨床の両立

  • 業界・領域:在宅・ターミナル期患者

  • 必要な能力
     フィジカルアセスメント
     内科系疾患の理解
     呼吸・循環機能評価
     摂食嚥下
     ポジショニング

このように整理することで、
「どの学会に出るべきか」
「どの論文を読むべきか」
「どのセミナーに参加すべきか」
が明確になる。

やみくもな自己研鑽からの脱却

キャリア戦略を持たずに、やみくもに論文執筆・学会発表・セミナー参加を続けても、それは仕事や人生への投資にはなりにくい

必要なのは、
・業界動向の理解
・自分の価値観の整理
・キャリアの種類に関する知識
・能力開発の適切な手段の選択

そして何よりも重要なのは、
「自分は仕事や人生をどうしていきたいのか?」を考える時間を確保することである。

キャリア戦略は「学ぶべきスキル」である

キャリア戦略を立案し、実行するためには、実は知識と技術が必要である。

しかし、多くのリハビリ職種は、キャリア戦略そのものを学ぶ機会がほとんどない。

その結果、
キャリア戦略なき自己研鑽は、不良債権化する

自己研鑽に熱心なリハビリ職種ほど、今こそ一度立ち止まり、自分のキャリア戦略を再考する必要がある

キャリアデザインに関して理解を深めたい方はこちらから → 記事を読む

筆者
高木綾一

理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
三学会合同呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
国家資格キャリアコンサルタント
株式会社Work Shift代表取締役
関西医療大学 保健医療学部 客員准教授

医療・介護分野の経営戦略や人材育成に精通し、年間100回以上の講演を実施。
医療機関や介護事業所の経営支援を通じて、組織の成長と発展をサポートする。
著書には 「リハビリ職種のキャリア・デザイン」 や 「リハビリ職種のマネジメント」 があり、リハビリ職種のキャリア形成やマネジメントの実践的な知識を提供している。
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