医療・介護の構造転換期に求められるのは、制度理解ではなく「成果を出す仕組みづくり」である

医療・介護は構造的転換期を迎えている

2025年現在、中医協や介護給付費分科会からは、2026年度診療報酬改定と2027年度介護報酬改定に向けた多くの論点が示されている。

医療と介護が1年ずれて改定される今回のサイクルは、事業者に連続的に大きな波が押し寄せるという点で、近年でも特殊な状況である。

示されている方向性は共通しており、いずれもアウトカム評価を中心に据えた構造改革だ。

  • 保険者機能の強化

  • 自立支援・重度化予防の成果評価(2027年介護報酬)

  • 急性期一般病棟のさらなる機能純化と再編

  • 地域包括ケア病棟・在宅復帰強化型老健の多機能化

  • 通所リハ・訪問リハ・通所介護の機能分化

  • リハビリ・栄養・口腔の一体的連携体制の評価強化

すべてが「結果(アウトカム)」を問う方向へ進んでいる。

筆者はリハビリテーション部門のコンサルティングを行っているが、医療機関や介護事業所の経営者・管理者から寄せられる相談は、2025年のいまも本質は変わらない。

「どう経営したら生き残れるのか」「通所リハはどうすべきか」「地域包括医療病棟は持つべきか」「訪問リハはどの形態が有利か」といった質問は、毎年のように繰り返される。

しかし答えは極めて明快である。

制度が求めるアウトカムを実際に出せる組織だけが生き残る。

ただ、ときにこの答えはクライアントを満足させない。

なぜなら質問の本質は、「何を出すか」ではなく「どうやって出すのか」という方法論にあるからである。

多くの事業者は、求められるアウトカムの内容は理解できている。

しかし、そのアウトカムを出す具体的な方法論を持ち合わせていない。ここに経営格差が生まれる。

経営状態の良し悪しは、結局は アウトカムを出す方法を知っているか、そして実行できているか に依存している。

にもかかわらず、管理者の多くは改定内容や算定要件には関心を示すものの、肝心の「成果を生む仕組みづくり」にはあまり目を向けないという現実がある。

また、アウトカムを出すためのノウハウは、実は参考書にも載っていないし、他法人からも学びにくい。

理由は単純で、それが 企業秘密 だからである(図1)。

図1 アウトカムを出す方法は企業秘密である

成果を出している法人ほど、人材育成、組織行動、財務、マーケティング、データ運用、三位一体連携などの運営ノウハウを外部に開示しない。

2026年(医療)→2027年(介護)の二段階改定は、ここ10年でも最大級の構造転換になる。

この波を乗り切るために事業者が取り組むべき核心は、表面的な改定対応ではない。

他法人が模倣できない自社独自のノウハウ(企業秘密)を構築すること。

それこそが、改定期における経営者・管理者の本質的な役割である。

制度が示すアウトカムは表面的なゴールにすぎず、そのゴールに到達する方法は事業者が自ら創り出すしかない。

診療報酬改定に関して理解を深めたい方はこちらから → 記事を読む

筆者
高木綾一

理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
三学会合同呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
国家資格キャリアコンサルタント
株式会社Work Shift代表取締役
関西医療大学 保健医療学部 客員准教授

医療・介護分野の経営戦略や人材育成に精通し、年間100回以上の講演を実施。
医療機関や介護事業所の経営支援を通じて、組織の成長と発展をサポートする。
著書には 「リハビリ職種のキャリア・デザイン」 や 「リハビリ職種のマネジメント」 があり、リハビリ職種のキャリア形成やマネジメントの実践的な知識を提供している。
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