フリーライダー問題とリハビリ・介護現場の生産性

フリーライダーとは、本来は組織メンバーが協力して価値を生み出す場面において、自らは貢献せず、他者の努力の成果だけを享受する人を指す。

端的に言えば「給料泥棒」である。

医療・介護業界では、人材不足に支えられて「働きの質が低くても雇われる」構造が長年続いてきた。

しかし、診療報酬・介護報酬体系の厳格化により、このぬるま湯は完全に終わりを迎えつつある。

現在の組織運営は、これまで以上に生産性の高さが求められる時代に入っている。

■ 生産性とは何か?

生産性とは、シンプルに言えば 「投入した時間・コストに対してどれだけ成果が出るか」 を示す指標のことである。

生産性を上げる方法は2つしかない。

  1. 投入(労働時間・給与)を減らしても成果が変わらない状態を作る

  2. 投入は変えずに、成果だけを大きく伸ばす

つまり、時間あたり・給与あたりで大きな成果を出せる人=生産性の高い人材であり、逆に成果の小さい人ほど組織の負担となる。

■ 生産性を下げる典型的なフリーライダーの例

リハビリ・介護現場には、次のような人が存在すると、生産性が急速に低下する。

  • 実力が伴わないのに肩書きだけの管理職。指示ばかりで自ら成果を出さない人

  • 本業より副業の方が優先で、職場に副業・セミナー作業を持ち込む人

  • 経営者・院長の親族で、出勤日数は少ないのに給与は高い人

  • 毎日残業して残業代は膨れ上がるのに、成果は「普通」の効率が極端に悪い人

  • 1分で伝わる話を5〜10分かけて説明してしまう人

  • 同じ失敗を何度も繰り返し、改善が見られない人

かつては、こうした人が組織にいても、診療報酬が潤沢で、最低限の利益は確保できた時代があった。

しかし、地域包括ケアが最終局面を迎える今、フリーライダーの存在は組織の重荷でしかない

■ なぜ医療・介護現場は生産性が低いのか?

実は医療・介護現場は、生産性向上の取り組みが遅れてきた領域である。

背景には以下の課題がある。

  • マネジメント能力の不足

  • 職員個々の技術差が大きい

  • コミュニケーション不備による二度手間・三度手間

  • 生産性意識の欠如(時間=成果ではない)

  • IT活用の遅れ(紙文化・FAX文化)

  • 人間関係のしがらみでフリーライダーを排除できない

特に「経営者の知り合い」「血縁者」「昔からいるベテラン」などのフリーライダーは、誰も注意できず、組織の生産性を著しく下げている。

医療・介護現場は、他産業に比べて圧倒的に生産性が低いと言われている。

その背景には、フリーライダーを許容してしまう組織文化が深く根付いている。

とくに、

  • 経営者の知り合い

  • ベテラン職員

  • 血縁者

  • 残業で稼ぐ人

  • 効率の悪い中間管理職

こうした人々の存在は、若い有能な職員のやる気を奪い、組織崩壊へ直結する。

フリーライダーが増えれば増えるほど、組織崩壊は近づく。

あなたの組織は、生産性の低い人を放置していませんか?

そして、排除する仕組みを持っていますか?

組織が生き残るためには、
「努力する人が報われる仕組み」
を作る以外に道はない。

筆者
高木綾一

理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
三学会合同呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
国家資格キャリアコンサルタント
株式会社Work Shift代表取締役
関西医療大学 保健医療学部 客員准教授

医療・介護分野の経営戦略や人材育成に精通し、年間100回以上の講演を実施。
医療機関や介護事業所の経営支援を通じて、組織の成長と発展をサポートする。
著書には 「リハビリ職種のキャリア・デザイン」 や 「リハビリ職種のマネジメント」 があり、リハビリ職種のキャリア形成やマネジメントの実践的な知識を提供している。
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