整形外科クリニックの勝ち組と負け組の二極化が止まらない

整形外科クリニックの勝ち組と負け組の二極化が進んでいる。

2000年代から2010年代前半までは、リハビリテーションの施設基準を取得し、理学療法士によるリハビリを提供することが整形外科クリニックの明確な差別化戦略であった。

しかし,2025年の現在では、リハビリを提供している整形外科クリニックは珍しくなく、もはや差別化要素にはならない。

「リハビリをしている」こと自体が当然の時代であり、そこに独自の価値がなければ患者は集まらない。

筆者のコンサルティング現場でも、「どのクリニックもリハビリをしているから新患が減った」「これからの整形外科は厳しい」といった声をよく聞く。

しかし実際には、今の時代においても多くの患者を集め、収益を安定的に伸ばしている整形外科クリニックは存在する。

つまり、衰退の原因は「時代の流れ」ではなく、「戦略の欠如」である。

整形外科クリニックを取り巻く環境は大きく変化している。
医療の在宅シフトが進み、通院困難な患者のフォロー体制が求められている。
デイサービスや通所リハが増加し、介護領域が競合となっている。
整骨院や整体院が乱立し、初期の患者流入経路が分散している。
予防・健康増進に対する意識が高まり、医療と運動を組み合わせた民間サービスが拡大している。
維持期患者の介護保険リハビリへの移行が進行している。

これらの変化に対して何の対応もしなければ、確実に「ジリ貧」になる。

環境の変化を嘆くのではなく、その変化を利用して新たな価値を生み出すことができるかどうかが分かれ目である。

勝ち組クリニックは共通して、医療の専門性の強化とマーケティングの両立を実現している。

医療面では、画像診断やエコーを活用した精密な評価、日帰り手術体制の整備、病院・介護との連携強化など、医療の本質を磨いている。

一方で、経営面では、地域住民への健康講座や運動教室の開催、WebやSNSによる情報発信、既存患者への継続的なフォローアップを通じて、地域に根差したマーケティングを展開している。

良い医療をしていれば自然に患者が集まる時代は終わり、「選ばれる医療」を設計することが経営の本質となった。

これからの整形外科クリニックには、リハビリを単なる治療手段としてではなく、価値創造の源泉として再定義する視点が求められる。

医療保険と自費リハを組み合わせたハイブリッド型サービス、栄養・運動・生活支援を統合したプログラム、在宅・介護との連携による地域包括的なリハビリネットワークなどがその一例である。

時代の流れを言い訳にしているクリニックは衰退し、環境を活かして新しい価値を創造できるクリニックが成長する。

整形外科クリニックの未来を決めるのは能力ではなく、明確な戦略の有無である。

リハビリを提供する時代は終わり、リハビリで価値を創る時代が始まっている。

組織マネジメントを学びたい方は、こちらまで

筆者
高木綾一

理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
三学会合同呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
国家資格キャリアコンサルタント
株式会社Work Shift代表取締役
関西医療大学 保健医療学部 客員准教授

医療・介護分野の経営戦略や人材育成に精通し、年間100回以上の講演を実施。
医療機関や介護事業所の経営支援を通じて、組織の成長と発展をサポートする。
著書には 「リハビリ職種のキャリア・デザイン」 や 「リハビリ職種のマネジメント」 があり、リハビリ職種のキャリア形成やマネジメントの実践的な知識を提供している。
経営相談・セミナー依頼はお気軽にお問い合わせください。

関連記事