「金の切れ目が縁の切れ目」であるならば、「金の動きが縁の始まり」である

「金の切れ目が縁の切れ目」という言葉がある。

お金があるうちは人が集まり、なくなれば離れていくという意味である。

日本ではこの言葉を、「お金だけでつながる関係は浅い」「お金に執着するのはよくない」といった価値観の中で使うことが多い。

しかし、医療・介護・リハビリの現場で働く私たちにとって、お金の流れは「信頼」や「貢献の証」である。

お金を支払いサービスを受ける。

報酬をいただき支援を提供する。

そこには、人と人との間に「価値の交換」と「信頼の確認」が存在している。

「お金のために仕事をしているわけではない」とよく言われるが、誰かがあなたの支援に対してお金を支払ってくれるということは、その価値を認めているということでもある。

私たちの報酬は、患者や利用者、家族、地域、制度など、数多くの人々の信頼の上に成り立っている。

したがって、お金が動くということは、信頼が動いているということにほかならない。

信頼は言葉では築けない。

実際の行動を通じて確かめられるものである。

それは、以下のような「お金が関わる場面」でこそ明らかになる。

研修に参加し学びに投資する。

業務委託や講師依頼を通じて責任を果たす。

新しい取り組みに出資し協働する。

これらの中で、約束を守り、誠実に行動する人が信頼される専門職である。

お金が関わる局面こそ、その人の本質が見える。

そして、「お金を動かせる人」がチームや組織を動かす。

補助金や委託事業を獲得する人、セミナーを企画して受講者を集める人、新しいサービスを形にする人・・・そうした人々は、お金の流れを通じて人と人をつなげている。

そこにこそ、真の信頼関係が生まれる。

「金の切れ目が縁の切れ目」ではなく、「金の流れが縁の始まり」と考えるべきである。

お金は汚いものではなく、信頼と価値を映し出す鏡である。

信頼される仕事を積み重ね、恐れずにお金の流れを作ることが、社会に貢献し、専門職として成長していく道である。

お金を動かすことができる人には、信頼が集まり、縁が生まれる。

信頼できる仲間との縁こそ、人生最大の資産である。

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筆者
高木綾一

理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
三学会合同呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
国家資格キャリアコンサルタント
株式会社Work Shift代表取締役
関西医療大学 保健医療学部 客員准教授

医療・介護分野の経営戦略や人材育成に精通し、年間100回以上の講演を実施。
医療機関や介護事業所の経営支援を通じて、組織の成長と発展をサポートする。
著書には 「リハビリ職種のキャリア・デザイン」 や 「リハビリ職種のマネジメント」 があり、リハビリ職種のキャリア形成やマネジメントの実践的な知識を提供している。
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