リハビリテーション研修の目的を見失っていないか

2025年現在、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の有資格者数はおよそ37万人に達し、リハビリ職種は医療・介護分野で最も多い専門職群の一つとなっている。

業界全体の平均年齢は依然として30代前半と若く、臨床経験が浅いリハビリ職種が多数を占める構造は続いている。

したがって、若手リハビリ職種を早期に自立させ、チームの戦力として育成することは、すべての医療機関・介護事業所において経営上の最重要課題である。

そのため、全国各地のリハビリテーション部門では今も日々、多様な社内研修が開催されている。

おそらく、どの専門職よりも研修を実施している職種がリハビリ職種であろう。

しかし近年、その「研修」が果たして組織や利用者の成果(アウトカム)向上につながっているのか、という点が問われている。

2026年度以降の診療・介護報酬改定に向けて、アウトカム評価とLIFEデータ連動が強化され、成果を出せない施設は報酬上も経営上も厳しい立場に置かれる。

つまり「研修をしている」こと自体ではなく、研修が成果を生み出す力につながっているかが問われている時代である。

筆者がコンサルティングの現場で見かける典型的な問題は次の通りである。

  1. 整形外科中心の回復期病院なのに、脳卒中関連の研修が圧倒的に多い

  2. 在宅復帰率を高めたい療養病院・老健なのに、家屋評価やADL改善の研修が少なく、手技や治療テクニック偏重になっている

こうした「ズレた学習構造」は、個々のリハビリ職種の向上心があるにもかかわらず、組織成果の改善に結びつかない原因となっている。

リハビリ職種はもともと学習意欲の高い専門家である。

だが、学ぶ内容を誤れば成果を出せる力にはならない。

特に注意すべきは、「研修会の開催そのものが目的化している組織」である。

研修会はあくまで手段であり、目的ではない。

目的は、リハビリテーションの質を高め、利用者・患者のアウトカムを最大化することである。

リハビリ職種個人の興味だけで開催される研修や、何の意図も設計もない研修は、むしろ組織の時間とコストを浪費する。

とりわけ、勤務時間中に実施する社内研修が「組織の発展に寄与しない内容」である場合、倫理的にも経営的にも看過できない。

2025年の今、求められているのは「研修の実施量」ではなく「研修の質と方向性」である。

組織の戦略と現場の学びを結びつけ、アウトカムを生み出す研修設計へと転換することが、次の時代のリハビリテーション部門の生命線となる。

あなたの職場の研修は、成果につながっていますか?

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筆者
高木綾一

理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
三学会合同呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
国家資格キャリアコンサルタント
株式会社Work Shift代表取締役
関西医療大学 保健医療学部 客員准教授

医療・介護分野の経営戦略や人材育成に精通し、年間100回以上の講演を実施。
医療機関や介護事業所の経営支援を通じて、組織の成長と発展をサポートする。
著書には 「リハビリ職種のキャリア・デザイン」 や 「リハビリ職種のマネジメント」 があり、リハビリ職種のキャリア形成やマネジメントの実践的な知識を提供している。
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