2026年度診療報酬改定の議論が進み、多くの医療機関ではすでに準備に追われている。
診療報酬改定は単なる点数の増減ではなく、経済的誘導を用いて国の政策を実現する仕組みであり、時に「国が梯子を用意し、登りきったら外される」と揶揄される。
2000年代に導入された回復期リハビリテーション病棟も、休日リハ加算や体制加算など数々の梯子が準備され、やがて外されてきた。
今回の改定議論でも、回復期リハ病棟のFIM利得などアウトカム評価の厳格化、急性期病棟の重症度・在宅復帰率の見直し、外来リハの介護保険対象者減算、療養病棟の患者像の厳格化など、数多くの「梯子外し」が並んでいる。
現場から見れば理不尽に映る内容も少なくないが、国は単に締め付けを行っているのではなく、梯子を外せば次の梯子を準備する。
問題は、多くの医療機関が梯子を外された後に素早く新しい梯子に乗り換えるためのマーケティングや社内資源の開発を怠っている点にある。
国の方針が変わっても高い利益率を維持している医療機関は、改定前からデータ収集やアウトカム評価に取り組み、在宅や地域連携など複数の収益源を設計している。
梯子が外されたときにすぐ次を登れる経営姿勢こそが生き残りの条件であり、組織の改革スピードが国の改革スピードを上回らなければ、これからの時代を勝ち抜くことはできない。
筆者
高木綾一

理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
三学会合同呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
国家資格キャリアコンサルタント
株式会社Work Shift代表取締役
関西医療大学 保健医療学部 客員准教授
医療・介護分野の経営戦略や人材育成に精通し、年間100回以上の講演を実施。
医療機関や介護事業所の経営支援を通じて、組織の成長と発展をサポートする。
著書には 「リハビリ職種のキャリア・デザイン」 や 「リハビリ職種のマネジメント」 があり、リハビリ職種のキャリア形成やマネジメントの実践的な知識を提供している。
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