2025年度診療報酬・介護報酬同時改定では、生活期リハビリテーションの役割がこれまで以上に重視されることが明確になった。
急性期・回復期の入院期間は短縮傾向が続き、その後の生活期における支援の重要性が増している。
生活期とは、医療依存度の高い時期を終え、本人が地域や家庭といった生活の場で再び日常を営む時期を指す。
急性期や回復期と比べると圧倒的に期間が長く、その間にいかにQOLを維持・向上させるかが鍵となる。
生活そのものを評価し、支援していく視点が欠かせない。
これまでの改定では通所リハビリテーション、訪問リハビリテーション、通所介護において、生活機能を高める取り組みが評価対象となってきた。
2025年現在もその流れは強まっており、単なるADLの自立支援にとどまらず、社会参加や生きがい支援まで含めた「生活構成要素」への理解と対応が求められている。
従来のリハビリテーション医療は、ADL改善や在宅復帰を中心に展開されてきた。
しかし、急性期・回復期の短縮、軽度高齢者やフレイル高齢者の増加、介護予防の対象拡大といった状況により、従来型のモデルは限界を迎えつつある。
この背景を受け、民間企業も続々と高齢者の生活支援市場に参入している。
フィットネスクラブ、旅行業界、食品関連、さらにはIT企業までが、高齢者の生活機能向上や社会参加をテーマに新たなサービスを展開している。
AIやデジタル技術を活用した遠隔リハビリや健康モニタリングも広がりを見せている。
一方で、高齢者支援には必ず心身機能のリスク管理が伴う。
そのため、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・看護師・介護福祉士といった専門職の関与は不可欠である。
これらの専門職が企画・運営の段階から生活支援ビジネスに参画し、専門性を活かしてサービスを提供する時代になったといえる。
2025年の生活期リハビリテーションは、医療と介護の領域を越え、地域社会・民間産業・デジタル技術と連携しながら発展していくことが期待される。
筆者
高木綾一

理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
三学会合同呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
国家資格キャリアコンサルタント
株式会社Work Shift代表取締役
関西医療大学 保健医療学部 客員准教授
医療・介護分野の経営戦略や人材育成に精通し、年間100回以上の講演を実施。
医療機関や介護事業所の経営支援を通じて、組織の成長と発展をサポートする。
著書には 「リハビリ職種のキャリア・デザイン」 や 「リハビリ職種のマネジメント」 があり、リハビリ職種のキャリア形成やマネジメントの実践的な知識を提供している。
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