1.脊柱の運動は一方向だけではない
脊柱の屈曲、伸展、側屈、回旋は、隣接する椎骨間で生じる小さな運動が積み重なることで生じます。
このとき、動作として観察される方向と、隣接する椎骨間で生じている運動が完全に一致するとは限りません。
例えば腰椎を側屈した場合、主となる側屈方向への角度変化だけでなく、屈曲方向または伸展方向への角度変化や、軸回旋方向への角度変化も生じることが報告されています。さらに、左右・前後・頭尾方向への小さな並進も確認されています。
脊柱の運動は、一方向の角度変化だけで生じる単純な運動ではありません。
2.隣接する椎骨間では角度と位置が変化する
隣接する2つの椎骨間の運動は、下位椎骨に対する上位椎骨の相対運動として捉えます。その相対運動には、屈曲方向または伸展方向、側屈方向、軸回旋方向への3つの角度変化と、左右・前後・頭尾方向への3つの並進があります。
これらを合わせると、隣接する椎骨間の運動は6自由度で表すことができます。
つまり、椎骨は一定の位置で傾いたり回旋したりするだけではなく、隣接する椎骨との位置関係もわずかに変化させながら運動しています。
図は腰椎の側屈が単純な動きではなく、右側屈に伴って伸展・右回旋・右側尾側への並進が伴っている場合の椎骨間の運動を表しています。

3.アライメントを一方向の角度だけで捉えない
このような椎骨間の運動特性を考えると、脊柱のアライメントについても一方向から見た角度だけで捉えないことが大切です。
前額面から確認できる側屈、矢状面から確認できる屈曲や伸展、水平面で捉える回旋は、それぞれ独立した現象ではありません。
そのため、脊柱全体のアライメントを捉えたうえで、そのアライメントが各椎骨間のどのような角度変化や位置関係によって構成されているのかを確認することが大切です。
視診から隣接する椎骨間の小さな並進を直接測定することはできません。しかし、一方向から見えているアライメントだけで脊柱の状態を判断しないことは、脊柱を三次元的に評価するための重要な視点になります。
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投稿者
福山真樹

理学療法士
メディカルアナトミーイラストレーター
鳥取県理学療法士会イラスト担当
日本理学療法士協会推薦公式イラスト担当
京都芸術大学通信教育部イラストレーションコース非常勤講師(美術解剖学_添削採点担当)
イラストスタジオ福之画代表
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