2027年度介護報酬改定でリハビリはどう変わる?2026年度診療報酬改定から読み解く「次の評価軸」

2027年度介護報酬改定は、2026年8月29日時点ではまだ審議段階であり、具体的な単位数は決まっていない。

しかし、2026年度診療報酬改定と現在の介護給付費分科会資料を並べると、リハビリ分野が向かう方向はかなり明確である。

2026年度診療報酬改定で象徴的なのは、「リハビリを実施した時間」から「何を目的に、何を実施したのか」への転換である。

例えば、離床を伴わず、ベッド上でポジショニングや拘縮予防を目的とした他動運動のみを行う一定の患者については、疾患別リハビリテーション料が90%評価となり、原則1日2単位までに制限された。

これは単位を実施すれば評価される仕組みから、介入内容そのものを問う方向への明確な政策転換である。

同時に、脳血管疾患、廃用症候群、運動器リハでは、介護保険サービスが必要と考えられる患者について、ケアマネジャーと連携し、訪問リハや通所リハの紹介、見学・体験まで提案することが要件化された。

医療リハと介護リハを別々に考える時代は終わりつつある。

この流れから最も2027年度改定の影響を受ける可能性が高いのが、通所リハビリテーションである。

厚労省資料では、通所リハの請求事業所数は減少傾向で、2025年の受給者は約60万人、2024年度の収支差率は2.0%である。

さらに重要なのはサービス内容である。

筋力増強、関節可動域訓練、平地歩行訓練が多く、計画目標も「運動機能改善」が約70%を占める一方、ADL・IADL改善を目標とする割合は20~30%程度にとどまる。

厚労省自身がこの状況を「現状と課題」として提示している。

したがって2027年度改定では、「筋トレをした」「歩行練習をした」ではなく、入浴、更衣、買物、家事、外出、社会参加など、実生活上の活動・参加へどう結びついたのかが一層問われる可能性が高い。

LIFEを用いたADL・IADL、活動・参加、さらには「改善」だけでなく「維持・非悪化」をアウトカムとして評価する議論は、すでに厚労省資料に明記されている。

次に警戒すべきは、要支援者への長期リハである。

介護予防通所リハでは利用開始24か月後も「終了予定なし」が約90%、介護予防訪問リハでも約76%に達する。

しかも2024年度改定ですでに12か月超利用について減算が強化され、リハ会議とLIFE活用を行う場合のみ減算しない仕組みが導入されている。

2027年度には「漫然と週1~2回通い続けるリハ」への評価がさらに厳しくなり、短期集中→生活機能改善→地域活動・自主トレ等への移行という卒業型モデルがより強く求められる可能性がある。

また、加算体系の整理も大きなテーマである。

通所リハでは認知症短期集中リハ加算や生活行為向上リハ加算などの算定率が低く、訪問リハでも認知症短期集中リハ加算の算定率は0.75%にすぎない。

厚労省は2027年度改定の論点として、算定率の低い加算・高い加算を整理し、報酬体系を簡素化することを明示している。加算の廃止、統合、基本報酬への包括化は十分にあり得る。

さらに通所介護も無関係ではない。現在の介護給付費分科会では、通所介護について「生活機能を維持し、在宅生活を続けるための質の高いサービス」「自立支援につながるサービス」をどう評価するかが正式な論点となっている。

個別機能訓練を単なるマシントレーニングとして運用しているデイサービスには厳しい方向である。

結局、2027年度改定で強くなるのは「リハビリを提供している事業所」への評価ではない。

「退院直後から関与し、生活課題を評価し、多職種で計画し、ADL・IADL・参加を変え、その結果をデータで説明できる事業所」への評価である。

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士にとって重要なのは、訓練技術だけではない。

生活を評価し、目標を設定し、成果を可視化し、医療から介護、そして地域生活までつなぐ能力そのものが報酬上の価値になりつつある。

ここが、2027年度介護報酬改定を読むうえで最も重要なポイントである。

2027年度改定の審議は今後さらに具体化するため、厚労省の分科会資料が更新された段階で重要な変更だけ追うこともできます。

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筆者
高木綾一

理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
三学会合同呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
国家資格キャリアコンサルタント
株式会社Work Shift代表取締役
関西医療大学 保健医療学部 客員准教授

医療・介護分野の経営戦略や人材育成に精通し、年間100回以上の講演を実施。
医療機関や介護事業所の経営支援を通じて、組織の成長と発展をサポートする。
著書には 「リハビリ職種のキャリア・デザイン」 や 「リハビリ職種のマネジメント」 があり、リハビリ職種のキャリア形成やマネジメントの実践的な知識を提供している。
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