2027年度介護報酬改定は何が変わるのか―今から押さえるべき重要論点とリハビリ部門への影響

2027年度(令和9年度)介護報酬改定の議論が本格化している。

2026年8月27日時点では、第262回介護給付費分科会まで開催されており、まだ個別の単位数や加算要件が決まる段階ではない。

厚生労働省が示したスケジュールでは、2026年4月から夏頃に主な論点の議論と事業者団体等へのヒアリング、10~12月頃に具体的な方向性を議論し、12月中に報酬・基準の基本的な考え方を取りまとめ、2027年1月頃に改定案を諮問・答申する予定である。

今回の改定の中核は、単純な報酬引上げではない。

厚労省は、賃上げ、経営の安定、離職防止、人材確保に加え、物価・賃金上昇を適切に反映する必要性を明記している。

一方で、2040年を見据えたサービス提供体制の再構築と、介護給付の効率化・適正化も同時に求めている。

分科会では、事業者側から基本報酬の引上げを求める意見がある一方、保険者側からは保険料負担を踏まえた給付の重点化、生産性向上を求める意見も出ている。

つまり、「経営を支える改定」と「制度を持続させる改定」の両立が最大のテーマである。

私が今回、最もドラスティックな変化として注目しているのは、全国一律の介護サービス設計から、地域特性に応じた制度へ踏み込むことである。

2027年4月1日施行の制度改正では、中山間・人口減少地域を念頭に「特定地域サービス」という新たな仕組みが創設される。

人員配置基準を弾力化するとともに、出来高報酬だけではなく、月単位の包括的評価を選択できる仕組みも示されている。

対象サービス、人員基準、包括評価の詳細は今後の介護給付費分科会で議論されるが、これは単なる新加算ではない。

地域によって人員配置や報酬モデルそのものを変える可能性を持つ制度改革である。

リハビリ部門も大きな影響を受ける可能性がある。

厚労省資料を見ると、通所リハビリテーションの2024年度収支差率は2.0%であるのに対し、訪問リハビリテーションは10.8%である。

また、通所・訪問ともに筋力増強訓練、関節可動域訓練、歩行訓練が多く、リハビリ計画の目標は運動機能改善が約7割を占めている。

一方、ADL・IADL改善を目標とする割合は相対的に低い。

リハビリ会議で目標達成度や介入効果を確認しているケースも約半数にとどまる。

さらに、介護予防通所リハでは利用開始24か月後も約90%、介護予防訪問リハでは約76%が「終了予定なし」で利用を継続している。

認知症短期集中リハや生活行為向上リハなど算定率の低い加算も存在し、厚労省自身が報酬体系の簡素化を論点として提示している。

これらのデータから私は、2027年度改定では「何回リハビリを実施したか」だけではなく、生活機能、ADL・IADL、社会参加へどう結びついたのか、目標と効果をチームで検証できているのかというリハビリマネジメントの質が、これまで以上に問われる可能性が高いと考えている。

LIFEも重要である。

厚労省の検討では、科学的介護推進体制加算を基礎となる「1階層目」とし、その上に各分野のLIFE関連加算を「2階層目」として配置する構造が提案されている。

ただし、訪問・通所系サービスへの新たなLIFE関連加算の導入については、小規模事業所の多さや入力負担などから慎重に検討すべきとの整理もされている。

訪問リハではもう一つ重要なポイントがある。

診療未実施減算に関する現行の経過措置は2027年3月31日までとされている。

2027年度改定は報酬表だけを読む改定ではない。

地域需要、人員配置、生産性、LIFE、医療介護連携、そしてリハビリの成果を一体的に再設計する改定になる可能性が高い。

主な参照資料

  • 厚生労働省「令和9年度介護報酬改定に向けた今後の検討の進め方について」第256回社会保障審議会介護給付費分科会
  • 厚生労働省「人口減少・サービス需要の変化に応じたサービス提供体制の構築」第261回社会保障審議会介護給付費分科会
  • 厚生労働省「通所リハビリテーション」第258回社会保障審議会介護給付費分科会
  • 厚生労働省「訪問リハビリテーション」第259回社会保障審議会介護給付費分科会
  • 厚生労働省「科学的介護情報システム(LIFE)について」第254回社会保障審議会介護給付費分科会
  • GemMed「2027年度介護報酬改定論議スタート、処遇改善・事業所の経営安定・制度の持続可能性等どう考えるか」
  • GemMed「『通所リハビリの重要性・必要性』を要介護者・家族・ケアマネが十分に認識していない可能性も」

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筆者
高木綾一

理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
三学会合同呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
国家資格キャリアコンサルタント
株式会社Work Shift代表取締役
関西医療大学 保健医療学部 客員准教授

医療・介護分野の経営戦略や人材育成に精通し、年間100回以上の講演を実施。
医療機関や介護事業所の経営支援を通じて、組織の成長と発展をサポートする。
著書には 「リハビリ職種のキャリア・デザイン」 や 「リハビリ職種のマネジメント」 があり、リハビリ職種のキャリア形成やマネジメントの実践的な知識を提供している。
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