頻脈誘発性心筋症について

頻脈誘発性心筋症(tachycardia-induced cardiomyopathyTICとは、頻脈や心房細動(atrial fibrillationAF)、心室期外収縮(premature ventricular contractionPVCなどにより一過性に左室機能が低下し、他の原因が明らかでない可逆性の心筋症のことである。

これによって、心不全をきたす(発症する)あるいは心不全が増悪する可能性のある病態である。

しかし、心不全発症時には、不整脈(頻脈)が原因であるかどうかは評価・診断が困難なことが多いとされる。

頻脈が改善してから、16ヵ月以内に左室機能が回復または改善して初めて確定診断となるからである。

頻脈誘発性心筋症(TIC)の特徴は、不整脈(頻脈)を治療することで心拍数が正常に戻れば、数ヵ月を経て左室機能(心筋症)が改善し、心機能が正常化することである。

むろん、心不全を合併している場合は、心不全症状も改善する

しかし、なかには心機能が完全に正常化しない場合もあることには注意が必要である。

心拍数が頻脈であっても頻脈誘発性心筋症(TIC)まで至るリスクは、不整脈の種類や発生機序というよりも心拍数の増加に起因しており、その持続時間に依存する。

主な症状は、動悸、心不全症状、失神または前失神などが報告されているが、無症候性の症例もみられる。

心臓突然死は稀とされているが、治療後に心筋症が改善した後も10%前後の症例で報告されている。

左室機能低下の他の原因が特定されない場合で、平均心拍数が100/分を超える場合や、心房細動(AF)を認める場合、および/または心室期外収縮(PVC)の負荷率が10%を超える場合には、頻脈誘発性心筋症(TIC)を疑う必要がある。

投稿者
井上拓也

理学療法士
循環認定理学療法士
心臓リハビリテーション指導士
3学会合同呼吸療法認定士
サルコペニア・フレイル指導士
国家資格キャリアコンサルタント
心電図検定1級
植込み型心臓不整脈デバイス認定士
協会指定管理者(上級)
フレイル対策推進マネジャー
地域ケア会議推進リーダー
介護予防推進リーダー
mysole協会ベーシックマイスター

循環器疾患(心臓リハビリ)や代謝疾患(糖尿病)、透析リハビリ、サルコペニア・フレイルを中心に臨床を行っている。

また、心肺運動負荷試験(CPX)も相当数経験をしており、呼気ガス分析に基づく安全かつ効果のある運動処方を展開するよう常に心がけている。

定期的にセミナー講師も務め、上記の疾患およびそのフィジカルアセスメント、心電図の判読などの情報提供も行っている。

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