2027年度介護報酬改定に向けて、訪問看護内リハビリと訪問リハビリテーションの関係が大きな論点になりつつある。
焦点は、単に「どちらがリハビリを提供するか」ではない。
訪問看護ステーションにおけるリハビリ職の訪問が、訪問看護本来の機能とどのように整合するのか、という制度上の根本問題である。
訪問看護は、本来、疾病や負傷により居宅で療養する者に対し、看護師等が療養上の世話や診療の補助を行うサービスである。
一方で、訪問看護ステーションでは、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士による訪問も認められている。
つまり、訪問看護内リハビリは、あくまで訪問看護の枠組みの中で行われるリハビリであり、単独のリハビリサービスではない。
しかし、資料では、訪問看護ステーションにおける理学療法士等による訪問看護の単位数は増加傾向にあることが示されている。
さらに、累次の改定で見直しが行われてきたにもかかわらず、全体単位数はなお増加している。
これは、減算によって一定の抑制を図っても、訪問看護内リハビリの需要と提供量が簡単には減っていないことを意味する。
2024年度改定では、理学療法士等による訪問回数が看護職員による訪問回数を超えている場合、または緊急時訪問看護加算、特別管理加算、看護体制強化加算をいずれも算定していない場合に、8単位の減算が新設された。
介護予防訪問看護では、12月を超えて行う場合にさらに15単位の減算も設定されている。
これは、リハ職による訪問そのものを否定するものではない。
問題は、訪問看護ステーションでありながら、看護機能よりもリハビリ提供が中心となる事業所が存在することである。
また、訪問看護ステーションの従事者数は年々増加しているが、全従事者に占める看護職員の割合は、長期的には81%から71%へ低下している。
近年は横ばいとされるものの、看護職員以外の職種、とくにリハビリ職の存在感が大きくなっていることは否定できない。
ここから見えてくる2027年度改定の重要論点は明確である。
第一に、訪問看護内リハビリは「看護と一体的に提供されるリハビリ」として整理されるのか。
第二に、訪問リハビリテーションは、医師の診療・リハビリテーション計画に基づく専門的リハビリとして、より明確に位置づけられるのか。
第三に、訪問看護ステーションにおいて、看護機能を十分に持たないリハビリ主体の運営がどこまで認められるのかである。

今後は、訪問看護内リハビリと訪問リハの線引きがより厳しく問われる可能性が高い。
訪問看護内リハビリは、看護師による状態把握、医療的管理、緊急時対応、多職種連携と結びついてこそ意味を持つ。
逆に、リハビリ職の訪問だけが量的に増え、看護機能が弱い事業所であれば、制度上の評価は厳しくなるだろう。
リハビリ職にとって重要なのは、訪問看護内リハビリを「訪問リハの代替」と考えないことである。
訪問看護の中で働くなら、看護師と連携し、療養生活上のリスク、病状変化、生活機能、家族支援まで含めた視点が必要である。
一方、訪問リハでは、医師の指示とリハビリテーション計画に基づき、生活機能の改善や活動・参加の拡大に向けた専門性がより問われる。
2027年度介護報酬改定では、訪問看護内リハビリが不要になるわけではない。
しかし、これまで以上に「なぜ訪問看護でリハビリを提供するのか」が問われる改定になる可能性が高い。
訪問看護と訪問リハの違いを理解し、それぞれの役割を明確に説明できる事業所だけが、今後の制度変化に対応できる。
参考文献
厚生労働省 老健局.訪問看護.社会保障審議会介護給付費分科会 第259回(令和8年6月29日)資料3.
厚生労働省 老健局.訪問リハビリテーション.社会保障審議会介護給付費分科会 第259回(令和8年6月29日)資料4.
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理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
三学会合同呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
国家資格キャリアコンサルタント
株式会社Work Shift代表取締役
関西医療大学 保健医療学部 客員准教授
医療・介護分野の経営戦略や人材育成に精通し、年間100回以上の講演を実施。
医療機関や介護事業所の経営支援を通じて、組織の成長と発展をサポートする。
著書には 「リハビリ職種のキャリア・デザイン」 や 「リハビリ職種のマネジメント」 があり、リハビリ職種のキャリア形成やマネジメントの実践的な知識を提供している。
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