2026年度改定が突きつけた回復期リハ病棟の現実

2026年度診療報酬改定では、回復期リハビリテーション病棟に対して、かなり厳しいメッセージが示されたと考えるべきである。

入院料の点数は引き上げられたが、それは単なるご褒美ではない。

国は明らかに「成果を出す回復期リハ病棟」を評価し、「成果を説明できない回復期リハ病棟」には厳しい視線を向け始めている。

今回の改定で特に大きいのは、リハビリテーション実績指数の基準引き上げである。

入院料1では42以上、入院料3では37以上が求められ、これまで実績指数の要件がなかった入院料2・4にも32以上という基準が導入された。

つまり、どの入院料であっても、一定以上のアウトカムを示すことが避けられなくなったのである。

さらに厳しいのは、実績指数の算出から除外できる患者の見直しである。

従来は80歳以上の患者などを除外対象にできたが、今回の改定では年齢による除外が外された。

また、FIM認知項目の基準も厳格化され、除外できる患者割合も30%から20%へ縮小される。

これは、高齢患者や重症患者を多く受け入れている病棟にとって、かなり重い変更である。

ここで重要なのは、「高齢者や重症者を受け入れるな」という話ではない。

むしろ逆である。これからの回復期リハ病棟は、高齢者や重症者を受け入れたうえで、どのようにADLを改善し、在宅復帰につなげるのかを問われる。

受け入れた結果、実績指数が下がりました、仕方ありません、では通用しない。

厳しい言い方をすれば、理念だけで病棟は守れない時代に入ったのである。

今回の改定では、歩行・車椅子やトイレ動作など、生活動作の自立度改善がより評価される仕組みも導入されている。

これは現場にとって非常に重要なメッセージである。

単にリハビリ室で運動療法を提供するだけでは不十分であり、病棟生活そのものをリハビリの場として設計しなければならない。

看護師、介護職、リハ職が連動し、日中の活動量、排泄動作、移乗、歩行、食事、更衣といった生活場面での改善を本気で追わなければならない。

また、休日リハビリテーション体制の要件化も大きい。

入院料3・4にも休日を含めたリハビリ提供体制が求められる方向となり、リハ職員の確保がますます重要になる。

ここで人材不足を言い訳にする病院は多いだろう。

しかし、人がいないからできません、では制度は待ってくれない。

人材採用、教育、配置、業務改善を含めて、経営と現場が一体となって体制を作らなければならない。

さらに、退院前訪問指導の評価や、リハビリ実績指数のウェブサイト公表も重要である。

これは、回復期リハ病棟が「院内で頑張る病棟」から、「地域と在宅生活に責任を持つ病棟」へ変わることを求められているということである。

退院後の生活を見据えず、病棟内のADLだけを改善しても意味は薄い。

自宅で生活できるか、家族が支えられるか、環境調整ができているか、地域サービスにつながっているか。

ここまで見て、初めて回復期リハの価値が問われる。

今回の改定は「なんとなくリハビリを提供している病棟」への警告である。

リハビリ単位数を多く出している、スタッフが一生懸命やっている、患者に優しく関わっている。

しかし、それだけでは足りない。

これからは、成果を数字で示し、生活改善につなげ、在宅復帰まで設計する力が必要である。

回復期リハ病棟は、いよいよ本気度が問われる時代に入った。

高齢化が進む中で、重症者を避けて実績だけを守る病棟に未来はない。

一方で、重症者を受け入れながらも、多職種でADLを改善し、退院後の生活まで支える病棟は、地域から確実に必要とされる。

今回の改定は厳しい。

しかし、厳しいからこそ、回復期リハ病棟の本当の実力が浮き彫りになる改定である。

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筆者
高木綾一

理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
三学会合同呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
国家資格キャリアコンサルタント
株式会社Work Shift代表取締役
関西医療大学 保健医療学部 客員准教授

医療・介護分野の経営戦略や人材育成に精通し、年間100回以上の講演を実施。
医療機関や介護事業所の経営支援を通じて、組織の成長と発展をサポートする。
著書には 「リハビリ職種のキャリア・デザイン」 や 「リハビリ職種のマネジメント」 があり、リハビリ職種のキャリア形成やマネジメントの実践的な知識を提供している。
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