訪問・通所系リハが支援している「生活機能向上」は、どのように評価されているか?

「生活機能向上」という言葉を、ここ数年で耳にする機会が明らかに増えたと感じています。

訪問系・通所系のリハ、地域ケア会議の場でも、当たり前のように使われるキーワードとなりました。

私は現在、訪問看護ステーションに勤務しており、通所系の現場経験は決して豊富ではありませんが、訪問の現場で利用者や家族と向き合う中で「これは確かに生活機能向上だと思う。

でも、この変化はどこまで評価されているだろう…」と立ち止まる場面が、少なからずあります。

現場での実感と、書類や算定上で扱われる「生活機能向上」の間にある違和感は、私以外にも感じておられる方はいらっしゃるかと思います。

現場で私たちの支援により得られたであろう変化は、必ずしもADLの数値改善だけでは語れません。

「できる・できない」という二択で表しにくい変化も多くあるはずです。

たとえば、

・ある家事行為の“一部”を再開できるようになった。

・外出頻度は増えていないが、外に出る準備を自分で行えるようになった。

・家族の介助に頼りきりだった動作の中で、本人の協力動作が得られるようになった。

こうした変化は大きくでは無くても、

介護負担の減少や、支援者のモチベーション増加などといった形で、生活の中に“じわっと”効いてくる部分があります。

生活行為、役割、環境調整。

これらは作業療法士が得意とする視点ではありますが、実際にはPTやSTも日常的に関わっている領域です。「その人の生活がどう“回っているか”」をみることは、リハビリテーション専門職共通の土台だと考えています。

一方で、算定や評価の枠組みを見たとき、扱われやすいアウトカムには一定の傾向があります。

ADLの変化、移動能力、数値化しやすい指標…これらは制度上、ある意味で当然の側面もあります。

しかし現場では、

「確実に良くなっている気はする」

「以前より生活は回っている」

と感じているにもかかわらず、それをどう説明すればよいのか分からない場面にも出会います。

書類上では変化が乏しく見える。

しかし、支援をやめたら元に戻ってしまいそうな不安もある。

このギャップに、もどかしさを覚えた経験のある方も多いのではないでしょうか。

このギャップを、「制度が悪い」「現場を分かっていない」と片付けてしまうのは、少し乱暴な気がします。

むしろ、私たち自身が行っている支援を、十分に言語化・構造化できていないといった側面もあるのではないでしょうか。

LIFEやアウトカム評価は、単に提出を求められている仕組みではなく、

「あなたが支援している変化は、どの部分なのか」

「それは、どのように説明できるのか」

と問いかけられているように感じます。

これは結構な負担ではありますが、同時に専門職としての説明力を試されているのかもしれません。

生活機能向上をうまく伝えるためには、解説したい部分の“切り取り方”を少し変えてみてはどうでしょう。

・どの行為の、どの部分のことか

・その行為は「できる」ようになったのか

・それは「生活の中で続いている(している)」のか

・本人や家族の役割分担や負担感はどう変わったのか

行為、参加、継続性。

この視点で整理すると、変化は一つではなく、重なり合っていることが見えてきます。

記録の中では、

必ずしも大きな変化(改善)でなくても「なぜ今のその介入が必要なのか(理由・目的)」を一文添える。

会議の場で、数値以外の変化を短く共有する。

こうした積み重ねが、「伝わらない支援」を減らしていくと考えています。

生活機能向上を制度がすべて拾ってくれるのをただ待っているだけだと、「評価される形」には近づきません。

支援している内容を、評価の言葉に翻訳する。

これは制度迎合でも、制度批判でもなく、専門職としての実践の一部だと感じています。

次の改定を見据えるとき、

「自分たちは何を良くしてきたのか」

「それをどう説明できるのか」

この問いを整理しておくことが、将来の現場を守ることにもつながるのではないでしょうか。

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投稿者
浅田 健吾先生
株式会社colors of life 訪問看護ステーション彩

平成21年に関西医療技術専門学校を卒業し、作業療法士の免許取得する。
回復期・維持期の病院勤務を経て、令和元年より株式会社colors of life 訪問看護ステーション彩での勤務を開始する。
在宅におけるリハビリテーション業務に従事しながら、学会発表や同職種連携についての研究等も積極的に行っている。
大阪府作業療法士会では、地域局 中河内ブロック長や地域包括ケア委員を担当しており、東大阪市PT.OT.ST連絡協議会の理事も務めている。
平成30年からは、大阪府某市における自立支援型地域ケア会議に助言者として参加している。

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