2026年度改定で確認すべき在支診・在支病の施設基準

在宅療養支援診療所、いわゆる在支診と、在宅療養支援病院、いわゆる在支病は、地域で24時間の在宅医療を支える中核的な医療機関である。2026年度診療報酬改定では、この位置づけがより明確になった。単に「訪問診療を行う医療機関」ではなく、急変時、看取り、災害時にも医療提供を継続できる体制を持つ医療機関であることが問われているのである。

基本となる施設基準は、24時間の連絡応需体制、24時間の往診体制、24時間の訪問看護体制、緊急入院を受け入れる病床の確保、連携先への診療情報提供、診療録管理、地域の医療・介護・福祉との連携、意思決定支援に関する指針、訪問栄養食事指導を行える体制、介護保険施設との協力体制などである。在支病では、原則として許可病床数200床未満、医療資源の少ない地域では280床未満という要件や、往診担当医が病院の当直医とは別であることも重要である

今回の改定で最も注意すべき点は、業務継続計画、すなわちBCPの策定と定期的な見直しが施設基準に追加されたことである。在宅患者には、人工呼吸器、在宅酸素、中心静脈栄養、終末期医療など、医療中断が生命リスクに直結する人が多い。BCPは単なる書類ではなく、災害や感染症流行時にも診療、連絡、訪問看護、搬送、安否確認をどう維持するかを定める実践計画である。既に届出を行っている医療機関には経過措置があるが、2027年6月以降も継続する場合は対応が不可欠である。

もう一つの重要点は、連携型の機能強化型在支診の評価が細分化されたことである。連携しているという名目だけでは不十分であり、平時から訪問診療に関与する医師が時間外往診体制をどれだけ担っているかが問われる。特に、連続する24時間の往診体制を月4回以上確保できるかが評価上の分岐点となる。これは、地域の24時間在宅医療を「面」で支える医療機関をより高く評価する方向性である。 

さらに、2026年度改定では、24時間連絡体制においてコールセンター等の第三者を利用する場合の考え方も明確化された。外部のコールセンターに電話対応を委託しているだけでは、在支診・在支病として十分な24時間体制とはいえない。患者・家族に対して、誰が連絡を受け、どのように医師や看護師へつながるのかを事前に説明しておく必要がある。また、医療機関側も、コールセンターからの連絡を24時間受け取り、必要時には往診や訪問看護につなげられる体制を整えておかなければならない。

一方で、これまで求められていた看取り数等の毎年の報告要件は削除された。しかし、これは看取りや緊急往診の重要性が低下したという意味ではない。むしろ、2026年度改定では、在宅医療充実体制加算が新設され、重症在宅患者への対応、緩和ケア、看取り、ICTを用いた情報連携などを含めた、総合的な在宅医療機能がより重視される方向となっている。

2026年度改定は、在支診・在支病に対し、「24時間対応を掲げているか」ではなく、「実際に継続可能な体制を持っているか」を問う改定である。今後は、届出要件を満たすだけでなく、自院の実績、連携体制、BCP、患者説明文書を定期的に点検することが重要である。

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筆者
高木綾一

理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
三学会合同呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
国家資格キャリアコンサルタント
株式会社Work Shift代表取締役
関西医療大学 保健医療学部 客員准教授

医療・介護分野の経営戦略や人材育成に精通し、年間100回以上の講演を実施。
医療機関や介護事業所の経営支援を通じて、組織の成長と発展をサポートする。
著書には 「リハビリ職種のキャリア・デザイン」 や 「リハビリ職種のマネジメント」 があり、リハビリ職種のキャリア形成やマネジメントの実践的な知識を提供している。
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