令和8年5月22日に示された「疑義解釈資料の送付について(その6)」では、リハビリテーションに関連する複数の重要な取扱いが示された。特に、地域包括ケア病棟、退院前訪問指導、早期リハビリテーション加算、がん患者リハビリテーション料に関する内容は、病院のリハビリ部門にとって実務上の影響が大きいものである。
まず注目すべきは、地域包括ケア病棟入院料におけるリハビリテーション・栄養・口腔連携加算である。常勤医師が修了すべき研修として、日本リハビリテーション医学会の「急性期病棟におけるリハビリテーション診療、栄養管理、口腔管理に係る医師研修会」などが示された。これは、リハビリ・栄養・口腔を一体的に捉える流れが、単なる理念ではなく施設基準上の要件として具体化していることを意味する。
また、この加算では、生活の場への復帰、維持期リハビリテーション、介護保険リハビリテーションへの移行、通所リハビリテーションや訪問リハビリテーションとの連携が重要視されている。つまり、地域包括ケア病棟は「入院中にADLを上げる場所」だけではなく、「在宅生活へ接続するための中間支援機能」を担う病棟として位置づけられているのである。
次に、退院前訪問指導料と疾患別リハビリテーション料の関係である。今回の疑義解釈では、患家を訪問した際、退院後の在宅療養上必要な指導とは別の時間に疾患別リハビリテーションを実施した場合、退院前訪問指導料とは別に疾患別リハビリテーション料を算定可能とされた。ただし、医療機関外で実施できる疾患別リハビリテーション料の算定上限単位数を超えないことが条件である。
これは在宅復帰支援において非常に大きい。家屋評価や家族指導だけでなく、実際の生活環境で動作練習を行う意義が評価されていると考えられる。リハビリ職種は、単なる環境確認ではなく、「その家で本当に動けるのか」を検証する視点がより求められる。
早期リハビリテーション加算についても重要な整理がなされた。令和8年度改定では起算日が入院日となったが、同一医療機関に入院を継続している場合、疾患別リハビリテーションの起算日が切り替わっても、早期リハビリテーション加算の起算日は当初の入院日から変更されない。一方で、新たな疾患の発症等により転院した場合や、退院後に再入院した場合は、転院日または再入院日が起算日となる。
さらに、外来で疾患別リハビリテーションを実施していた患者が急性増悪等により入院した場合でも、入院の契機となった疾患により起算日が切り替わり、対象疾患の要件を満たせば、入院日を起算日として早期リハビリテーション加算を算定できるとされた。外来から入院へ移行する患者の算定整理として、現場では押さえておくべき内容である。
がん患者リハビリテーション料については、専任医師の経験要件に関する研修の取扱いが示された。過去にADL維持向上等体制加算の要件として認められていた研修の受講歴は、引き続き有効である。また、リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算の医師研修も、がん患者リハビリテーション料の医師の経験要件を満たすものとして取り扱ってよいとされた。
今回の疑義解釈から見える本質は、リハビリテーションが「単独の訓練提供」から、「栄養・口腔・在宅生活・医療介護連携を含めた包括的支援」へ移行している点である。リハビリ部門は、算定要件を確認するだけでなく、病棟運営、退院支援、在宅連携、医師研修体制まで含めて、自施設の実践を見直す必要がある。令和8年度改定は、リハビリ職種に対し、より広い視野と連携力を求めているのである。
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理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
三学会合同呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
国家資格キャリアコンサルタント
株式会社Work Shift代表取締役
関西医療大学 保健医療学部 客員准教授
医療・介護分野の経営戦略や人材育成に精通し、年間100回以上の講演を実施。
医療機関や介護事業所の経営支援を通じて、組織の成長と発展をサポートする。
著書には 「リハビリ職種のキャリア・デザイン」 や 「リハビリ職種のマネジメント」 があり、リハビリ職種のキャリア形成やマネジメントの実践的な知識を提供している。
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