介護施設における自立支援とは何か―ADLの自立だけではない「自分で決める力」を考える

皆様は自立支援と聞くとどのようなことを思い浮かべますでしょうか。

セラピストが使う「自立支援」という言葉は、どちらかといえばADLの自立や行動/実行の自立を指すことが多いのではないかと思います。しかし日常生活における自立とはそのようなことだけではありません。教科書的には、その他精神的自立、経済的自立、社会的自立といった内容で整理されることがありますが、介護施設において必要な自立とはどのようなものでしょうか。

私は生活期における自立において重要となるのは、自分で決める、判断ができるという自立と考えています。日常生活を自身で暮らしていくためには、ADLそのものの自立はもちろんなのですが、必要なタイミングでそれが実行できているか、危険察知等は適切に判断できているか(過剰でも過小でもない)、必要に応じて人にお願いするという判断ができるかといった内容がより大切となります。これは精神的自立、「自律」というような分類に整理されることもある内容です。

介護サービスを受けた、介護施設に入居した瞬間に実はこの部分が、能力があったとしても、奪われてしまうことになることが少なくありません。例えば通所介護や通所リハに通っている際、利用者は時計が確認でき、今が何時か、次に何のスケジュールとなるのか、トイレにはいっておいた方がいいのか、判断できる材料がそろっていますでしょうか。時計は見えない、スケジュールはわからず声をかけられるのを待っている、これでは、自宅ではできていることができなくなってしまっても仕方ありませんし、当然リハビリテーションの効果も薄いものとなってしまいます。

よく活用される方法としては、サービス利用のタイミングに合わせて、デイの準備やその他のことをするというようなタスクをお渡しして、自身で時間や予定を整理して実行していただくといった方法です。

介護サービスは、単に安全に過ごす場ではなく、生活を組み立てる力を保ち高める場でもあります。職員が先回りしすぎず、本人が選び、考え、行動できる余地を残すことが、自立支援の質を大きく左右するのです。

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投稿者
波野優貴先生

理学療法士
福祉用具プランナー
勤務先
◯SOMPOケア株式会社
◯大阪府立大学 非常勤講師
福祉用具論の一部を担当

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