在宅リハビリで本当に必要な力とは何か:リハビリ職種に求められる全身状態の評価と対応

近年、在宅リハビリテーションの一つである訪問リハビリテーションに関わるリハビリ職種は増加傾向にある。在宅に関わるリハビリ職種には、大きく分けて二つのパターンがある。ひとつは、一度病院に就職した後に在宅分野へ移るパターン、もうひとつは、新卒の段階から在宅分野に関わるパターンである。

この二つを聞くと、多くの人は、病院勤務を経験してきたリハビリ職種のほうが、臨床経験がある分、在宅にも早く適応できるだろうと考えがちである。しかし実際には、そのようなリハビリ職種であっても、新卒で在宅に関わるリハビリ職種と同様に、自主的な学習を求められる場面が多いのが、現在の在宅現場である。

在宅の現場でリハビリ職種に最も求められることの一つは、目の前の対象者の全身状態を把握できることである。全身状態の把握と聞くと、病院でもリハビリ職種が日常的に行っていると思われるかもしれない。しかし、病院では各医療従事者の役割がある程度分担されており、リハビリ職種が介入する時点では、すでに看護師が病棟で全身状態を確認し、その情報が電子カルテに記録されていることが多い。リハビリ職種は、その情報を確認したうえで介入できる環境にある。

一方、在宅ではそのような前提がほとんどない。リハビリテーションを実施するその日に、医療従事者として対象者に直接関わるのが担当のリハビリ職種だけであることも少なくない。そのため、在宅ではリハビリ職種が担う役割は非常に大きい。リハビリ職種だから運動療法だけ実施できればよいという考え方は、在宅では大きなリスクを伴う。今のうちに、その認識は改めたほうがよい。

在宅に関わるリハビリ職種には、全身状態の評価や把握といった、病院内では看護師が主に担っている内容についても対応できる力が求められる。解剖学、生理学、疾患学の知識が乏しいリハビリ職種ほど、現場では業務の流れのまま運動療法だけを行い、その日の対象者の全身状態を十分に見ないまま介入してしまう危険がある。

また、全身状態の評価や把握とは、単にバイタルサインを測定することではない。測定した数値を解剖学的・生理学的に理解し、その意味を踏まえて判断することが重要である。さらに、急変が起こった際にも、適切な初動対応ができなければならない。

病院であれば、周囲に医師や看護師がいるため、すぐに支援を求めることができる。しかし在宅現場では、まずリハビリ職種自身が最初に状況を判断し、対応しなければならない。その分、医療従事者としての責任はより大きい。

だからこそ、在宅に関わるリハビリ職種には、全身状態の評価と把握について、自主的かつ積極的に学び続ける姿勢が必要である。在宅リハビリテーションでは、運動療法の技術だけでなく、対象者を総合的に診る力こそが、現場での質と安全を支える土台になる。

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投稿者

小池 隆二
株式会社OneMoreShip 代表取締役
在宅リハビリテーション&ケアスクール 講師
理学療法士
株式会社OneMoreShip 代表取締役
医療法人OneMoreShip 理事
在宅医療・地域医療・地域リハビリテーションの現場に深く根ざし、実践を重ねる理学療法士。
医療法人と株式会社の両軸で、医療と介護の両事業を経営する数少ないプレイヤーとして、制度の狭間にある課題解決に挑む。

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