令和8年度診療報酬改定 リハビリの疑義解釈資料その2が公表 リハ栄養口腔連携、看護・多職種協働、回復期リハ病棟の運用ポイントを整理する

令和8年3月31日に公表された「疑義解釈資料の送付について(その2)」では、リハビリ関連の運用に直結する重要な解釈が複数示された。

今回の特徴は、回復期リハビリテーション病棟、リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算、看護・多職種協働加算など、実際の届出や算定、運用方法に直接関わる論点がかなり具体的に整理された点にある。

リハ栄養口腔連携の人員時間は他加算に流用できない

リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算における専従の理学療法士等および専任の管理栄養士の病棟従事時間は、看護・多職種協働加算の勤務実績時間として算入できないと明示された。

これは、現場でありがちな「同じ病棟で働いているのだから、時間を重ねて扱えるのではないか」という発想を明確に否定するものである。

届出を考える際には、人員配置だけでなく、どの加算のための勤務実績としてカウントするのかを厳密に切り分ける必要がある。

リハ栄養口腔連携体制加算は病棟ごとに異なる区分で届出できる

リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算は病棟ごとに異なる区分で届出可能である。

これは、同一医療機関の中でも、病棟機能や人員体制が異なる場合に応じた柔軟な設計が可能であることを意味する。

病院全体を一括で考えるのではなく、病棟単位で戦略的に届出を組み立てる視点が必要になる。

転棟すれば加算は引き継げないが、評価と計画は引き継げる

地域包括ケア病棟入院料でもリハビリテーション・栄養・口腔連携加算が算定可能となったが、同一医療機関内であっても、すでに別病棟で当該加算を算定していた患者が転棟した場合、転棟先でそのまま加算を引き続き算定することはできないとされた。

しかも、算定開始日から14日以内であっても算定不可である。

ただし、ADL、栄養状態、口腔状態の評価およびその評価に基づく計画は、転棟前のものを引き継いで差し支えないと整理された。

つまり、加算は引き継げないが、評価と計画は引き継げるということである。

管理栄養士は混在病棟でも1名配置でよい

1つの病棟の中に、リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算を算定する病室と、地域包括ケア病棟入院医療管理料におけるリハビリテーション・栄養・口腔連携加算を算定する病室が混在している場合であっても、その病棟に専任常勤の管理栄養士を1名配置すれば差し支えないことも示された。

人員配置の過剰な重複を避けつつ、適切な届出設計が可能になる。

看護・多職種協働加算は看護職員のみでも算定可能

看護・多職種協働加算については、看護職員、PT、OT、ST、管理栄養士、臨床検査技師のいずれかを25対1で配置することとされているが、疑義解釈では、看護職員のみの配置でも算定可能であることが明示された。

高次脳機能障害に対する介護保険リハの範囲が明確化された

回復期リハビリテーション病棟入院料に関する疑義解釈では、「介護保険によるリハビリテーション」とは何を指すのかが具体化された。

対象となるのは、訪問リハビリテーション、通所リハビリテーション、介護予防訪問リハビリテーション、介護予防通所リハビリテーション、さらに介護保険施設で医師、PT、OT、STにより行われる、高次脳機能障害者に適したリハビリテーションである。

つまり、介護保険サービスなら何でもよいわけではなく、高次脳機能障害に適した内容であることが前提となる。

退院支援を行う際には、紹介先のサービス内容まで見ておく必要がある。

計画書の提供先は「受診予定先」ではなく「リハ利用予定先」である

高次脳機能障害患者に関するリハビリテーション総合実施計画書等の提供先についても、対象は医療保険、介護保険、障害福祉サービスによるリハビリテーションを実際に利用する予定先に限られるとされた。

単に受診する予定の医療機関や、ケアプラン作成を受ける予定の居宅介護支援事業所等は含まれない。

実績指数のFIM加点は片方の改善だけでも加算される

回復期リハビリテーション病棟の実績指数に関しては、「歩行・車椅子」と「トイレ動作」がともに改善しなければならないのではなく、それぞれの項目が入棟時5点以下から退棟時6点以上に改善した場合に、各項目につき1点を加えることができると整理された。

したがって、どちらか一方のみの改善でも1点加算される。

重症患者の高次脳機能障害の範囲は脳血管障害だけではない

重症患者の対象となる「高次脳機能障害と診断された患者」には、重症脳血管障害だけでなく、頭部外傷、脳腫瘍、脳炎、急性脳症に伴う高次脳機能障害も含まれることが示された。

回復期病棟では、従来よりも対象患者の把握を正確に行わなければならない。

診断名ベースで粗く判断するのではなく、高次脳機能障害の病態背景まで踏まえて整理する必要がある。

実績指数の経過措置は「入棟時基準」で判断する

令和8年7月以降の実績指数の算出方法については、除外対象や除外割合は入棟時の基準が適用されるとされた。

そのため、令和8年5月31日までに入棟した患者には改定前基準を用いてよい。

さらに、FIM運動項目20点以下かつ1日平均6単位超の場合に除外できなくなる新たな取扱いについても、5月31日までに入棟した患者には適用しなくてよいとされた。

一方で、「歩行・車椅子」「トイレ動作」の各1点加点は、7月以降に算出する実績指数では対象期間中の全患者に適用して差し支えない。

回復期リハ強化体制加算は算出月以外でも届出可能

回復期リハビリテーション強化体制加算の届出については、実績指数の算出月でなければならないわけではなく、届出前月までの直近6か月間を対象に実績指数を算出して届け出ることが可能と整理された。

また、退院前訪問指導料の算定回数ではなく、実際に退院前訪問指導を実施した実績で届出してよいことも示された。

これは、届出準備のタイミングに柔軟性が生まれた一方で、実績の取り方を形式ではなく実態ベースで整備しなければならないことを意味する。

退院前訪問指導は2回行っても1人として数える

回復期リハビリテーション強化体制加算における退院前訪問指導の実施割合では、同一患者に対して入院後早期と退院前の2回実施しても、分子となる患者数は1人として算出すると明示された。

「自宅退院」の自宅の範囲にも注意が必要である

自宅退院患者の考え方については、患者の自宅だけでなくサービス付き高齢者向け住宅も含む一方で、一部の施設や障害福祉サービスを行う施設、事業所、福祉ホームは含まれないと整理された。これらは分子にも分母にも含めない。

この点は、自宅復帰率や退院前訪問指導の実施割合を計算する際に、施設種別の整理を誤ると数字そのものが変わってしまうため、非常に重要である。

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筆者
高木綾一

理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
三学会合同呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
国家資格キャリアコンサルタント
株式会社Work Shift代表取締役
関西医療大学 保健医療学部 客員准教授

医療・介護分野の経営戦略や人材育成に精通し、年間100回以上の講演を実施。
医療機関や介護事業所の経営支援を通じて、組織の成長と発展をサポートする。
著書には 「リハビリ職種のキャリア・デザイン」 や 「リハビリ職種のマネジメント」 があり、リハビリ職種のキャリア形成やマネジメントの実践的な知識を提供している。
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