2026年度診療報酬改定では、入退院支援加算の見直しと、発症早期のリハビリテーション評価の強化が打ち出された。
これは単なる点数調整ではない。
急性期から回復期、在宅復帰までを切れ目なくつなぎ、より早く、より的確に介入する体制を医療機関に求める明確なメッセージである。

まず入退院支援加算の見直しは、一般病棟だけでなく、地域包括医療病棟や回復期リハビリテーション病棟、地域包括ケア病棟まで含めて評価対象を広げた点に意味がある。
背景には、高齢化により退院支援の複雑性が増し、家族や親族との連絡困難、生活背景の把握不足、地域資源との連携不全が退院の遅れにつながっている現状がある。
退院は医師や看護師だけで完結する課題ではなく、リハビリ職種を含めた多職種が生活再建を見据えて関与すべきテーマになった。
リハビリ職種の専門性の観点からみれば、退院支援において重要なのは、動作能力の評価だけではない。
退院後の生活場面を想定した移動、排泄、更衣、入浴、家族介護力、住宅環境まで具体的に見通す力である。
今回の見直しは、この生活機能を軸にした専門性をより発揮せよという方向性と捉えるべきである。

一方、早期リハビリテーション加算の見直しは、入院後3日以内の介入をより高く評価する内容であり、急性期からの早期離床と機能低下予防をさらに促す改定である。
背景には、入院関連機能障害の予防、在院日数短縮、重症化予防を進めたい政策意図がある。
発症後あるいは術後早期の介入は、もはや努力目標ではなく、病院機能の質そのものとして扱われ始めたといえる。
この改定はマネジメントの観点でも重い。
早期介入と退院支援を両立するには、個人技ではなく、紹介から入院、評価、カンファレンス、退院調整までの流れを組織として設計し直す必要がある。
リハビリ部門長には、誰がいつ介入し、誰が退院支援会議につなぎ、どこで情報共有するかを標準化する役割が求められる。
さらに人員確保の観点でも示唆は大きい。
早期介入を高頻度で回し、生活期を見据えた退院支援まで担うには、単に人数が足りればよいわけではない。
急性期対応力、生活機能評価力、多職種連携力を持つ人材の育成と定着が不可欠である。
今回の改定は、リハビリ職種を個別リハビリ実施者としてではなく、病院経営と地域連携を支える中核人材として再定義したものといえる。
現場はこの変化を点数の話で終わらせず、専門性と組織体制の再構築につなげるべきである。
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筆者
高木綾一

理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
三学会合同呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
国家資格キャリアコンサルタント
株式会社Work Shift代表取締役
関西医療大学 保健医療学部 客員准教授
医療・介護分野の経営戦略や人材育成に精通し、年間100回以上の講演を実施。
医療機関や介護事業所の経営支援を通じて、組織の成長と発展をサポートする。
著書には 「リハビリ職種のキャリア・デザイン」 や 「リハビリ職種のマネジメント」 があり、リハビリ職種のキャリア形成やマネジメントの実践的な知識を提供している。
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