2026年度診療報酬改定 ADL維持向上等体制加算は消え、リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算は伸びず、看護・多職種協働加算も前途多難:病棟×リハを回すマネジメント不在

ADL維持向上等体制加算は、平成26年度(2014年度)改定で導入された。

急性期で寝かせきりを生まず、廃用・褥瘡を予防し、退院時のADL低下を抑えるという思想は筋が良かった。

しかし現実には普及が進まず、令和6年度(2024年度)改定で整理され、制度としては姿を消した。

後継として令和6年度(2024年度)改定でリハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算が導入された。

だが、この加算も算定は低調であり、算定病院が10%に満たないと言われる。

名前を変え、要件を組み替えても、現場実装が進まない構造は温存されたままである。

さらに令和8年度(2026年度)改定で導入される看護・多職種協働加算も、厳しい運用が予想される。

多職種で体制を組み、日々の病棟業務を変え、結果としてアウトカムを出すことが前提になるからである。

要件の難しさ以上に、実装の難しさが壁になる。

なぜこの手の加算はうまくいかないのか。

最大の原因は、アウトカムを出す以前に、ストラクチャーとプロセスのマネジメントができていない点にある。

ADLはリハだけで決まらない。

看護ケア、離床判断、栄養介入、口腔ケア、せん妄予防、医師の方針、病棟文化が絡む多因子アウトカムである。

結果を求めるなら、結果を生む仕組みが要る。

そして決定的なのは、リハビリ部門のマネジメント体制が弱い施設が多く、病棟業務とのコンバインが起きないことである。

専従者を置く、会議を開く、書類を整える。ここまでは形式でできる。

しかし、本当のストラクチャーとは、責任の所在、指揮命令系統、業務の再配分、データの流れ、逸脱時の是正権限まで含む。

プロセスとは、誰がいつ評価し、誰が計画を確定し、週末を含めてどう回し、逸脱をどう直すかという運用そのものである。

これが病棟の標準業務として埋め込まれない限り、アウトカムは安定しない。

結論は明確である。

リハ部門が病棟運用の設計に入り、共通KPIを持ち、標準化と教育と改善サイクルを回す体制を作らない限り、この種の加算は普及しない。

制度の善し悪しではない。

マネジメント不在のまま成果だけを求めれば、形骸化し、低調に終わり、やがて別の名前に置き換わるだけである。問われているのは努力ではなく実装である。

診療報酬・介護報酬に関して理解を深めたい方はこちらから →セミナー一覧
筆者

高木綾一

理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
三学会合同呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
国家資格キャリアコンサルタント
株式会社Work Shift代表取締役
関西医療大学 保健医療学部 客員准教授

医療・介護分野の経営戦略や人材育成に精通し、年間100回以上の講演を実施。
医療機関や介護事業所の経営支援を通じて、組織の成長と発展をサポートする。
著書には 「リハビリ職種のキャリア・デザイン」 や 「リハビリ職種のマネジメント」 があり、リハビリ職種のキャリア形成やマネジメントの実践的な知識を提供している。
経営相談・セミナー依頼はお気軽にお問い合わせください。

関連記事