今回の改定案は、地域包括医療病棟が現場で担っている患者像、すなわち誤嚥性肺炎や尿路感染症など、一定の医療資源投入を要する高齢者入院の実態を踏まえ、評価の軸をより明確化する方向で設計されている。
特に手術の有無や緊急入院の有無で入院料を分け、病棟機能と負担の違いを点数体系に反映させる意図が読み取れる。
改定項目まとめ
- 入院料体系の再編
地域包括医療病棟入院料を、入院料1と入院料2に区分し、さらに各区分に入院料1から3の段階を設定する構造へ整理する。 - 段階の振り分け基準の明確化
緊急入院か予定入院か、主傷病に対する手術の実施有無により、入院料1から3の対象患者を区分する。 - 病棟機能による上位区分の考え方
急性期一般病棟を院内に持たない場合など、包括期病棟のみで救急受入等の負担を担うケースをより評価する考え方が示されている。 - リハ、栄養、口腔の一体的取組の推進
連携体制を整えた病棟に対し、計画作成日から起算して14日を限度とする連携加算の整理が示されている。 - リハ職の関与の整理
改定案側では、疾患別リハの対象外患者にもADL維持向上を目的とした評価・指導を行うことを明確化し、必要に応じて算定可能な項目の考え方を示している。
※A100(一般病棟入院基本料)を算定しているとは急性期の一般病棟

急性期一般病棟を持たない病院は、院内で急性期→包括期へ院内転棟させる逃げ道がない分、救急受入や地域からの直接入院などの負担を包括期だけで抱えやすい。
その負担差を踏まえて、上位区分(入院料1)として評価する狙いがある、という設計である。
マネジメントとリハで
重要となる考え方
第一に、病棟運営は患者を診るだけでなく、患者がどのルートで入院し、何を提供し、どの地点に退院させるかという機能設計で成否が決まる時代である。
緊急入院と予定入院、手術ありと手術なしで評価が分かれる以上、受入導線と意思決定の標準化が収益と業務負担を左右する。
入院前から地域連携室、病棟、リハ、栄養、口腔が同じゴールを共有し、入院後の判断を迷わせない設計が必要である。
第二に、リハビリテーションは単位数を積み上げる発想から、ADLと生活機能を軸にした介入へ再定義される。
短冊は対象外患者にも評価・指導を求めており、病棟として全患者の生活機能に関与する姿勢が前提になる。
つまり、疾患別の枠に閉じるのではなく、入院直後から退院に向けて動作、活動、参加の阻害要因をチームで潰すことが病棟価値となる。
第三に、リハ、栄養、口腔の連携は理想論ではなく、制度が求める運用である。
計画作成から14日という期限が示される以上、入院初期のアセスメントと介入開始が勝負である。入院後2週間で方向性を固め、退院支援へ接続できる体制を整えた病棟が強い。
地域包括医療病棟は、治すと支えるを両立するための現場力が問われる。
改定案は、その現場力を機能と実績で可視化しようとしているのである。
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筆者
高木綾一

理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
三学会合同呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
国家資格キャリアコンサルタント
株式会社Work Shift代表取締役
関西医療大学 保健医療学部 客員准教授
医療・介護分野の経営戦略や人材育成に精通し、年間100回以上の講演を実施。
医療機関や介護事業所の経営支援を通じて、組織の成長と発展をサポートする。
著書には 「リハビリ職種のキャリア・デザイン」 や 「リハビリ職種のマネジメント」 があり、リハビリ職種のキャリア形成やマネジメントの実践的な知識を提供している。
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