在宅医療が広がる中で、医療機関が必ず理解しておくべき加算が「在宅時医学総合管理料(在医総管)」と「施設入居時医学総合管理料(施医総管)」です。
本記事では、算定要件、通院困難の判断基準、多職種連携のポイントを解説します。
1. 在宅時医学総合管理料とは
在医総管・施医総管は、通院が困難な患者に対し、医師が在宅療養計画を作成し、 計画的かつ継続的に訪問診療を行うことで算定できる診療報酬 です。
ここで重要なのは、
在宅療養支援診療所(在支診)の届出がなくても算定できる
という点です。
●なぜ届出がなくても算定できるのか
在医総管そのものは、一般の診療所・病院でも算定できる仕組みのためです。
ただし、在支診の要件(複数医師・24時間対応等)を満たす医療機関は、より高い点数が設定されています。
つまり、
届出なし → 算定は可能だが点数はやや低め
届出あり → 点数が高く、算定要件の幅も広がる
という違いになります。
2. 在宅療養計画の作成と説明
算定には、医師が病状、ADL、家族状況を踏まえた在宅療養計画を作成し、患者・家族に分かりやすく説明することが必須です。
説明すべき主な内容は以下の通りです。 
計画が明確であるほど、患者・家族の理解度や支援体制が構築されます。
3. 定期的な訪問診療:算定の大前提
在医総管の算定は、最低月1回以上の訪問診療が必須です。
病状が不安定な場合は月2回以上が望まれます。
定期訪問には以下のメリットがあります。
病状の変化を早期に把握できる
患者・家族が相談しやすい
介護負担の軽減
急変リスクの予防
「通院困難」の根拠が明確であるほど、算定の正当性も担保されます。
4. 通院困難の判断基準
通院困難かどうかは、医師が総合的に判断します。

一時的体調不良では対象外となることもあり、医学的な妥当性が重要です。
5. 他職種・他機関との連携
在宅医療はチームで運用されることで成功します。
具体的な連携は以下の通りです。
訪問看護師:健康状態の観察・処置
薬剤師:薬剤管理、併用薬の確認
ケアマネ:ケアプランの調整
リハビリ職種(PT/OT/ST):ADL評価、環境調整、機能訓練
特にリハビリ職は、「通院困難の医学的根拠」を補足できる唯一の専門職 であり、医師との情報共有は算定の正確性にも影響します。
6. 不正算定が起きやすいケース
在医総管は監査で指摘されやすい領域です。特に以下は要注意です。
本来通院可能なのに「通院困難」と判断してしまう
訪問回数を満たさず算定
計画書の作成が形式的で実態と乖離
単一建物での人数申請の誤り
医師の判断根拠が曖昧なまま算定すると、返還・指導の対象になることがあります。
7. クレームが起きやすい場面
説明不足が原因で起こるトラブルが多く、特に以下で発生します。
医療費の想定より高額になり「聞いていない」と言われる
月2回診療を24時間対応と誤解される
医師、看護師、ケアマネの説明が食い違う
在宅療養計画と実際のケア内容が不一致
説明・記録・情報共有がトラブル防止の鍵となります。
8.在医総管とリハビリ職種の関係
在医総管においてリハビリ職種は、医師の療養計画を具体化する重要な専門職である。
特に、通院困難の根拠となる歩行能力・バランス・認知機能などの評価はリハビリ職種が最も詳細に把握しており、医師の判断材料として不可欠である。
また、患者のADL変化や家屋環境の課題をいち早く把握し、訪問看護やケアマネへ共有することでケアの整合性が高まる。
さらに、在宅療養計画で示された「生活機能維持」「予防的ケア」の実践はリハビリが中心となって担う領域であり、在医総管の質を左右する。リハ職の評価と介入は、在宅医療チームの意思決定や算定の適正化に直結する。
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筆者
高木綾一

理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
三学会合同呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
国家資格キャリアコンサルタント
株式会社Work Shift代表取締役
関西医療大学 保健医療学部 客員准教授
医療・介護分野の経営戦略や人材育成に精通し、年間100回以上の講演を実施。
医療機関や介護事業所の経営支援を通じて、組織の成長と発展をサポートする。
著書には 「リハビリ職種のキャリア・デザイン」 や 「リハビリ職種のマネジメント」 があり、リハビリ職種のキャリア形成やマネジメントの実践的な知識を提供している。
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