リハビリテーション部門の人材育成の方針を決める方法

リハビリテーション部門における人材育成は、単なる教育研修の企画ではない。

組織の成長戦略や事業方針と密接に結びついた「戦略的人材育成」である必要がある。

どれだけ多くの研修を実施しても、組織としてどこを目指すのかが明確でなければ、その教育は断片的で効果が薄くなる。

人材育成の方針を決めるためには、まず組織のビジョンを再確認することが出発点である。

リハビリテーション部門として、どのような価値を利用者・患者に提供したいのか。

どんな専門職集団でありたいのか。

その理想像を言語化することで、教育の方向性が初めて定まる。

次に行うべきは、ビジョンに基づいた「人材要件の定義」である。

たとえば、「在宅支援に強い部門を目指す」のか、「リハビリマネジメントに強いチームを育てる」のかによって、求める能力や研修内容は大きく異なる。

人材育成は全員一律ではなく、戦略に基づく選択的教育であることを意識する必要がある。

また、育成方針を明文化し、管理職や教育担当者間で共有することも重要である。

方針が共有されないまま個々の判断で教育を行えば、育成効果が分散し、評価も困難になる。

さらに、研修は「職員の満足」ではなく「組織への貢献」を目的とすることを明確にするべきである。

現場で成果を出すための研修でなければ、いくら学んでも組織の成長にはつながらない。

結局のところ、人材育成の方針は「組織のビジョン」「事業戦略」「人材要件」という3つの軸をもとに定めることで、初めて一貫性と実効性を持つのである。

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筆者
高木綾一

理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
三学会合同呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
国家資格キャリアコンサルタント
株式会社Work Shift代表取締役
関西医療大学 保健医療学部 客員准教授

医療・介護分野の経営戦略や人材育成に精通し、年間100回以上の講演を実施。
医療機関や介護事業所の経営支援を通じて、組織の成長と発展をサポートする。
著書には 「リハビリ職種のキャリア・デザイン」「リハビリ職種のマネジメント」 があり、リハビリ職種のキャリア形成やマネジメントの実践的な知識を提供している。
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