リハビリ部門における「ワークライフバランス」の誤解

リハビリ部門の現場では、「ワークライフバランス」という言葉がしばしば誤解されている。

多くの人が「仕事とプライベートを完全に切り離すこと」や「残業をしないこと」と捉えがちである。

しかし、本来の意味はそれとは異なる。

ワークライフバランスとは、私生活を犠牲にせずに、むしろ生活の充実を通じて仕事の生産性を高めることを指している。

リハビリテーションの現場では、患者対応、書類業務、カンファレンスなどに追われ、仕事中心の生活になりやすい。

しかし、プライベートの時間を削ってまで働くことは、短期的には成果を出しても、長期的には燃え尽きやモチベーション低下を招く。

ワークライフバランスは「働かない」ことではなく、「より良く働くための条件整備」であると理解すべきである。

本ブログ内で紹介する動画では、「仕事とプライベートを分ける考え方は誤解である」という点を詳しく解説している。

私生活が充実することで心身が整い、仕事の集中力や創造力が高まる。結果として、患者への対応力やチーム連携の質も向上する。

リハビリ部門の生産性は、個々のセラピストのコンディションに大きく左右されるため、プライベートの充実は組織的にも重要な投資である。

また、管理者の立場としては「ワークライフバランスを個人の甘え」として捉えないことが肝要である。

制度面では有給休暇の取得推進や柔軟な勤務形態の導入、心理的安全性の高い職場文化の醸成が求められる。

これらの取り組みが、結果として離職率の低下や人材定着率の向上につながる。

リハビリ部門が真の意味でワークライフバランスを実現するとは、仕事と生活の両方を高め合う関係を築くことである。

仕事の質を高めるために私生活を整え、私生活を豊かにするために仕事を工夫する。

この相互作用こそが、今後の医療・介護現場における持続可能な働き方の鍵である。

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筆者
高木綾一

理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
三学会合同呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
国家資格キャリアコンサルタント
株式会社Work Shift代表取締役
関西医療大学 保健医療学部 客員准教授

医療・介護分野の経営戦略や人材育成に精通し、年間100回以上の講演を実施。
医療機関や介護事業所の経営支援を通じて、組織の成長と発展をサポートする。
著書には 「リハビリ職種のキャリア・デザイン」「リハビリ職種のマネジメント」 があり、リハビリ職種のキャリア形成やマネジメントの実践的な知識を提供している。
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