オンラインセミナーで臨床力は上がるのか?

リハビリ職種の学びの形は、いまやオンラインセミナーが主流となっている。

自宅や職場で受講でき、移動時間も不要である。

全国の優れた講師から最新の知見を得られるなど、多くのメリットがある。

しかし同時に、「オンラインで本当に臨床力は上がるのか?」という疑問も根強い。

臨床力とは、単なる知識量ではなく「利用者の状態を見極め、最適な介入を判断・実践できる力」である。

そのためには、観察力、触診力、動作分析力など、身体的な「感覚」を伴うスキルが不可欠だ。

ここにオンラインの限界がある。

画面越しでは、実際の筋緊張の変化や動作の微妙なズレを感じ取ることはできず、「感覚の共有」は困難である。

しかし一方で、臨床力の基礎を支える「考える力」「判断の筋道」は、オンラインでも十分に鍛えることができる。

症例検討や動画による動作分析、講師の臨床思考を可視化した解説は、むしろ現場以上に整理された学びとなる。

さらに、録画視聴による「反復学習」は知識定着に優れており、何度でも復習できる点は大きな利点である。

結論として、オンラインセミナーで臨床力は「上がる部分」と「限界がある部分」に分かれる。

感覚的・技能的な成長には現場や実技研修が必要だが、理論的理解と臨床思考の深化にはオンラインが最適である。

つまり、オンラインは“臨床力を育てる土台づくり”の場であり、それを現場で検証し続けることで初めて真の臨床力が磨かれていくのである。

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筆者
高木綾一

理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
三学会合同呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
国家資格キャリアコンサルタント
株式会社Work Shift代表取締役
関西医療大学 保健医療学部 客員准教授

医療・介護分野の経営戦略や人材育成に精通し、年間100回以上の講演を実施。
医療機関や介護事業所の経営支援を通じて、組織の成長と発展をサポートする。
著書には 「リハビリ職種のキャリア・デザイン」「リハビリ職種のマネジメント」 があり、リハビリ職種のキャリア形成やマネジメントの実践的な知識を提供している。
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