ストレッチングの種類とメカニズム―スタティックとダイナミックの違いを整理する

【ストレッチングの種類】

ストレッチングは、動きの有無や実施方法によって分類できる。

代表的なものとして、スタティックストレッチング、ダイナミックストレッチング、バリスティックストレッチング、PNFストレッチングが挙げられる。

スタティックストレッチングとは、反動や弾みをつけず、筋をゆっくりと伸張した状態で一定時間保持する方法である。

ダイナミックストレッチングとは、身体をコントロールしながら関節を繰り返し動かし、筋を伸張する方法である。

バリスティックストレッチングとは、反動や弾みを利用して筋を伸張する方法である。

ダイナミックストレッチングの一種として扱われることもあるが、動作速度や反動の使い方が異なるため、分けて考えることが多い。

PNFストレッチングは、筋の収縮と弛緩を組み合わせて行う応用的な方法である。

また、ストレッチングは、誰が行うかによって分類することもできる。

自分自身で行うものをセルフストレッチング、セラピストやトレーナーなどに行ってもらうものをパートナーストレッチングという。

ここからは、臨床やスポーツ現場で用いられることが多いスタティックストレッチングとダイナミックストレッチングのメカニズムについて解説する。

【スタティックストレッチングのメカニズム】

骨格筋は腱を介して骨に付着しており、筋腱移行部付近の腱内にはゴルジ腱器官が存在している。

ゴルジ腱器官は筋線維に対して直列に配置され、筋の収縮や伸張によって生じる張力を感知する感覚受容器である。

ゴルジ腱器官で感知された情報は、Ib群求心性線維を介して脊髄へ伝えられる。

その情報は脊髄内の介在ニューロンを介し、同じ筋を支配するα運動ニューロンの興奮性を調整する。

この神経機構は、自原抑制またはIb抑制と呼ばれている。

従来、スタティックストレッチングによる筋の弛緩や関節可動域の拡大は、この自原抑制によって説明されることが多かった。

しかし、現在では、自原抑制だけでストレッチングの効果を説明することは難しいと考えられている。

関節可動域の拡大には、筋腱複合体のスティフネス低下や、伸張刺激に対する耐性の増加なども関与する。

したがって、スタティックストレッチングの効果は、神経学的変化と力学的変化の両面から捉える必要がある。

【ダイナミックストレッチングのメカニズム】

筋には、主動筋が収縮すると拮抗筋が抑制される相反神経支配が存在する。

主動筋の筋紡錘から生じたIa群求心性線維の興奮は、脊髄内の抑制性介在ニューロンを介して、拮抗筋のα運動ニューロンを抑制する。

この神経機構は、相反抑制またはIa抑制と呼ばれる。

例えば、ハムストリングスを伸張したい場合、膝関節伸展運動によって大腿四頭筋を収縮させる。

その結果、拮抗筋であるハムストリングスには相反抑制が働き、筋活動が抑えられやすくなる。

ただし、ダイナミックストレッチングの効果も、相反抑制だけで説明できるものではない。

反復運動による筋温の上昇、筋腱複合体のスティフネス低下、動作に必要な神経筋活動の準備なども関係すると考えられる。

以上が、スタティックストレッチングとダイナミックストレッチングに関係する主な神経学的・力学的メカニズムである。

なお、ストレッチングの効果は方法だけで決まるものではない。対象者の状態や目的を踏まえ、強度、時間、回数、実施時期を調整し、実施前後の関節可動域や動作の変化を確認することが重要である。

井上拓也

・理学療法士
・認定理学療法士(循環)
・3学会合同呼吸療法認定士
・心臓リハビリテーション指導

理学療法士免許を取得後、総合病院にて運動器疾患や中枢神経疾患、訪問リハビリテーション等に関わってきました。すべての患者さんのために、障害された機能の改善やADLの向上に励んできました。特に運動器疾患においては、痛みの改善や関節可動域の改善、筋力向上を目的とした理学療法にて、患者さんのADLの向上を図ってきました。

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