「正しい決断」を待つな―不完全な選択がキャリアを動かす

自分のキャリアや生き方を決められない人は多い。

できるだけ正しい決定をしたい。

リスクの低い道を選びたい。

できるだけ多くの情報を集めてから判断したい。

そのように考え、キャリアの選択を先延ばしにしている人は少なくない。

しかし、この世の中に完全に合理的な意思決定など存在しない。

世の中にあるすべての情報を集めることはできない。

集めた情報が、常に客観的で正確であるとも限らない。

さらに、社会や組織、自分自身の価値観も時間とともに変化していく。

つまり、意思決定には必ず一定の不完全さと不確実さが含まれる。

それにもかかわらず、完全な正解が見つかるまで考え続ければ、いつまでも行動を始められない。

大切なのは、不確実さがなくなるのを待つことではない。

現時点で得られる情報を基に、自分なりに納得できる選択をすることである。

そして、選択した後に行動し、その結果を確認しながら修正していけばよい。

決断とは、未来を正確に予測する作業ではない。

行動を通じて、望む未来に近づいていくための出発点である。

選んだ道が悪い方向へ進んでいると分かれば、その決定を見直しても構わない。

すべての決定を、二度と変更できない最終決定にする必要はない。

もちろん、健康や多額の金銭などに関わる重大な選択には、慎重な検討が必要である。

しかし、多くのキャリア選択は、小さく試しながら方向を修正することができる。

転職する前に副業を始める。

新しい分野の研修を受ける。

興味のある仕事をしている人に会う。

このような小さな行動でも、考えているだけでは得られない情報が手に入る。

人間は、成功だけでなく失敗からも多くのことを学ぶ。

失敗によって、自分に足りない能力や本当に大切にしたい価値観が明確になることもある。

したがって、避けるべきなのは失敗そのものではない。

失敗を恐れるあまり、何も選ばず、何も行動しないことである。

キャリアの決断を先延ばしにすれば、失敗する機会と同時に、学び成長する機会まで失ってしまう。

完璧な選択を求めるよりも、今の自分が納得できる選択を行い、必要に応じて修正する。

キャリアの選択においては、その柔軟さこそが、完璧主義よりもはるかに重要である。

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筆者
高木綾一

理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
三学会合同呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
国家資格キャリアコンサルタント
株式会社Work Shift代表取締役
関西医療大学 保健医療学部 客員准教授

医療・介護分野の経営戦略や人材育成に精通し、年間100回以上の講演を実施。
医療機関や介護事業所の経営支援を通じて、組織の成長と発展をサポートする。
著書には 「リハビリ職種のキャリア・デザイン」 や 「リハビリ職種のマネジメント」 があり、リハビリ職種のキャリア形成やマネジメントの実践的な知識を提供している。
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