理学療法士・作業療法士をはじめとするリハビリ職種は、養成校時代や臨床実習を通じて「動作分析」を学ぶ機会が多い。
利用者の立ち上がり、立位、歩行などを観察し、その背景にある機能障害を予測する練習を重ねている。
しかし、在宅や介護の現場では、動作分析を体系的に学ぶ機会が十分でないまま、機能訓練や運動指導を担当しているリハビリ職種も少なくない。
現場には、立ち上がりが困難、立位が不安定、歩行に介助が必要といった利用者が非常に多い。
そのような方に対して、どの運動を行えばよいのか、どこに介入すれば動作が改善するのか、悩む場面は多いはずである。
動作を維持・向上させるために最も重要なことは、「その動作の異常性に最も影響している機能障害」を見極め、そこに対して治療や介入を行うことである。
機能障害とは、人の身体機能が何らかの理由で低下・制限されている状態を指す。
代表的なものには、筋力低下、関節可動域制限、感覚障害、姿勢制御能力の低下などがある。
ただし、動作を阻害している機能障害を判別するためには、前提となる知識が必要である。
それが「正常動作」の理解である。
正常な動作がどのような順序で進み、それぞれの局面でどの身体機能が必要になるのかを知らなければ、異常動作の原因を正確に推測することは難しい。
例えば、立ち上がり動作は大きく①屈曲相、②殿部離床相、③伸展相に分けられる。
①屈曲相では、胸椎・腰椎の屈曲可動域、股関節屈曲可動域、股関節伸展筋力、胸腰椎伸展筋力などが必要となる。
②殿部離床相では、足関節背屈可動域、膝関節伸展筋力、足関節底屈筋力などが求められる。
③伸展相では、胸腰椎伸展可動域、股関節伸展可動域、股関節伸展筋力、胸腰椎伸展筋力などが重要となる。

このように、正常動作の理解では「動作の相」と「各相に求められる機能」を整理することが欠かせない。
それらを理解できれば、目の前の動作異常がどの機能障害によって生じているのかを考えやすくなる。
機能訓練は、ただ筋力トレーニングを行うことではない。
動作を観察し、原因を考え、必要な機能に的確に介入することで、はじめて利用者の生活動作の維持・向上につながる。
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投稿者
高木 綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
呼吸療法認定士
修士(学術/MA・経営管理学/MBA)
関西医療大学保健医療学部 客員准教授
医療・介護分野の現場経験とマネジメントの専門性を活かし、リハビリテーション部門や多職種連携に関するコンサルティングを全国で展開している。
在宅領域および整形外科リハビリテーションの臨床に長年取り組み、現場の実態を踏まえた実践的な視点を強みとする。
医療機関や介護事業所の立ち上げ支援、教育体制の構築、組織マネジメント支援など、実践的かつ現場に根ざした支援を得意とする。
また、コンサルティング先に加え、リハビリ職種養成校等でも臨床からマネジメントまで幅広く講義を行い、現場で再現できる形に落とし込んだ知見の提供に力を入れている。
セミナー講師としても多数登壇し、現場の課題解決につながる知見の共有を行っている。
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