そのADL自立は本当に良い自立なのか?

高齢者のリハビリテーションの現場では、ADL動作の改善が求められる。

しかし、実はADLは出来ているか?出来ていないか?だけでなく、どのような動作をしているのか?を評価することが重要なのである。

例えば、立ち上がり動作が困難になっている利用者がいたとする。

筋力トレーニングや関節可動域練習により立ち上がりが徐々に出来るようになり、自立したとする。

この場合、確かに「立ち上がり動作は出来た」という評価になる。

しかし、立ち上がり動作できるようになったが、立ち上がる際に片側の膝関節が内反し、膝関節内側裂隙に疼痛が生じていた場合、自立は出来ているが、著しく質の悪い自立といえる。

動作が自立していても
疼痛がある
疲労が生じる
努力が必要である
再現性がない
などが生じているなら、その自立は質の低いものである。

ADL動作の質を評価することが出来れば、リハビリテーションの展開に幅が出てくる。

また、ADL動作の質を評価することは、生活期リハビリテーションにおいて特に重要である。

高齢者は一度獲得した動作であっても、痛みや代償動作を放置すれば、別の関節への負担、転倒リスク、活動量の低下につながる可能性がある。

つまり、「できるようになった」で終わるのではなく、「安全に、楽に、安定して、繰り返しできるのか」まで確認する必要がある。

ADLの自立とは、単に介助量が減った状態ではない。

本人が安心して生活の中で使える動作になっているか、家族や介護職が見ても不安の少ない動作になっているかが問われる。

だからこそ、筋力、柔軟性、姿勢制御、環境調整、福祉用具の活用などを総合的に捉え、動作の質を高める視点が重要である。

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高木綾一

理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
三学会合同呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
国家資格キャリアコンサルタント
株式会社Work Shift代表取締役
関西医療大学 保健医療学部 客員准教授

医療・介護分野の経営戦略や人材育成に精通し、年間100回以上の講演を実施。
医療機関や介護事業所の経営支援を通じて、組織の成長と発展をサポートする。
著書には 「リハビリ職種のキャリア・デザイン」 や 「リハビリ職種のマネジメント」 があり、リハビリ職種のキャリア形成やマネジメントの実践的な知識を提供している。
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