リハビリ職種が知っておきたいADLのこと

この利用者さんのADLはどんな感じですか?
ADLが低いため、在宅生活が難しいです
ADLを上げるリハビリをしてほしいです
と言われたことはないだろうか?

ADLとは
Activities of Daily Livingの略で「日常生活動作」と訳される。

ADLは歯磨き、着替え、移動(歩行・階段)、食事、トイレ、入浴、など日常的に発生する動作で構成されている。

ADLが低下するというのは、これらの動作のレベルが低下したということを表現するものである。

例えば、「歩行困難となり、ベッドからトイレまでの移動が難しくなり、排泄が自立できなくなった」という利用者がいた場合、「ADLが低下した利用者」と表現することが出来る。

しかし、在宅、通所介護、特別養護老人ホームなどでは「ADLが低下した」という表現だけでは利用者の生活の質をあげることは困難である。

ADLの何が具体的に低下して、それがどのように生活の質を落としているのかについて考えなければならない。

トイレ動作が自立できていない利用者がいたとする。

トイレ動作が自立できない理由は次のようなことが考えれる。

尿意がわかりにくい
頻尿である
ベッドからトイレに行く途中の動作(起き上がり・立ち上がり・歩行等)が困難である
ズボンやパンツの上げ下ろしができない
お尻を拭くことが出来ない

つまり、トイレ動作が自立できていないというだけでもこれだけのことを考えなければならない。

例えば、家族や介護支援専門員から「ADLが低下しています」と聞いたらかならず、「どのADL動作が低下していますか?」と質問しなければならない。

そして、「トイレ動作ができません」と返事が来たら、「トイレ動作のどの部分でできないのですか?」と質問をしなければならない。

ADLは単純なものではなく、複雑な要素で成り立っている。

ADLが低下しているときは、出来るだけ掘り下げて考え、どの部分が課題であるかを評価する必要がある。

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)(脳卒中)
呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
関西医療大学保健医療学部 客員准教授

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