キャリアデザインやキャリアアップについて考えるとき、多くの人は「未来の計画」を一生懸命に立てようとするのではないだろうか。
近い将来、〇〇の資格を取りたい。
次の職場では、〇〇ができる環境で働きたい。
大学院に進学し、〇〇について深く学びたい。
このように、未来の目標を考えることがキャリアデザインであると捉えている人は少なくない。
しかし、キャリアを考えるうえで本当に重要なのは、未来よりもむしろ「過去」である。
自分の価値観や自己概念を反映したキャリアを築ける人は、「過去の経験」との向き合い方が非常に上手である。
「過去」と向き合うことが上手な人は、次の2つを丁寧に整理できている。
1)過去から現在まで、人生や仕事において自分がどのような状況に置かれてきたのかを明確に把握している
2)過去から現在までの状況に対して、感情だけで終わらせず、その経験にどのような意味があったのかを考えている

例えば、「病院で嫌な仕事を任され、仕事を辞めたいと考えている。しかし、年齢は31歳であり、今から転職するべきか悩んでいる」というキャリア上の悩みを持つセラピストがいたとする。
このような場合には、
1)今の病院で働く中で獲得してきた知識、経験、技術を整理する
2)嫌な仕事を任されたことに対して、自分がどのような気持ちになっているのかを整理する
3)31歳という年齢が、自分にとってどのような意味を持つのかを考える
4)今から転職することに対して、具体的に何を不安に感じているのかを整理する
5)1)〜4)の内容を統合し、自分は何に悩み、これからどのように生きたいのかを考える
これらの一連の思考こそ、発展的で主体的なキャリア開発には欠かせない。
キャリアを考えるうえで重要なのは、「経験の再現」と「意味の出現」を繰り返すことである。
過去の経験を丁寧に振り返り、その経験に対して自分がどのような感情や気持ちを抱いているのかを見つめる。
そのうえで、自分はこれからどのように働き、どのように生きていきたいのかを考える。
この繰り返しによって、単なる未来予測ではなく、自己概念を反映したキャリア選択ができるようになる。
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筆者
高木綾一

理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
三学会合同呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
国家資格キャリアコンサルタント
株式会社Work Shift代表取締役
関西医療大学 保健医療学部 客員准教授
医療・介護分野の経営戦略や人材育成に精通し、年間100回以上の講演を実施。
医療機関や介護事業所の経営支援を通じて、組織の成長と発展をサポートする。
著書には 「リハビリ職種のキャリア・デザイン」 や 「リハビリ職種のマネジメント」 があり、リハビリ職種のキャリア形成やマネジメントの実践的な知識を提供している。
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