世の中の医療機関や介護事業所の中には、「リハビリテーションを強みにして、患者や利用者を増やしたい」と考えているところが実に多い。
PT・OT・STが在籍していることを強みにしたい。
認知症への取り組みをアピールしたい。
運動器リハビリテーションの質の高さで集患したい。
このように、リハビリテーションに大きな可能性を感じている経営者や院長、管理者は少なくない。
しかし、ここに大きな問題がある。
それは、リハビリテーションを組織の強みとして打ち出したいにもかかわらず、現場の理学療法士・作業療法士・言語聴覚士がマーケティング活動にほとんど関与していないことである。
リハビリテーションサービスの開発。
対象となる患者・利用者の選定。
情報発信ツールの作成。
オンライン・オフラインでの営業活動。
地域への啓発活動。
ケアマネジャーや医療機関への説明活動。
これらは、本来、リハビリテーションの専門性を最も理解しているリハビリ職種が関与すべき領域である。
しかし、実際には、こうしたマーケティング活動に主体的に関わっているリハビリ職種に出会うことは、決して多くない。
これは実に不思議なことである。
リハビリテーションで飯を食っているリハビリ職種が、リハビリテーションの価値を社会に伝えようとしない。
自分たちの専門性が、誰に必要とされ、どのような課題を解決し、どのような価値を生み出すのかを言語化しない。
これでは、専門職としての価値は社会に伝わらない。
リハビリテーションは、ただ良いことをしていれば自然に選ばれるわけではない。
患者や利用者、家族、地域、ケアマネジャー、医師、行政に対して、その価値を伝えなければならない。
つまり、マーケティングとは単なる集客活動ではない。
リハビリテーションの価値を社会に届けるための活動である。
それにもかかわらず、リハビリ職種がマーケティングを「自分には関係ない仕事」と考えているなら、それは極めて危険な姿勢である。

医療機関や介護事業所に所属していれば、自然に患者や利用者が来る。
自分は臨床だけをしていればよい。
集客や営業は経営者や事務職の仕事である。
このような考え方は、ビジネス感覚の欠如と言わざるを得ない。
私たちの仕事は、患者や利用者が存在して初めて成立する。
利用してくれる人がいなければ、どれほど高い技術や知識を持っていても、仕事としては成立しないのである。
リハビリ職種は、臨床技術を磨くだけでは不十分である。
自分たちの専門性を社会に伝え、必要な人に届け、組織の価値向上に貢献する姿勢が必要である。
これからの時代、リハビリ職種には臨床力だけでなく、マーケティング感覚も求められる。
リハビリ職種の皆さん、マーケティング活動をしよう。
マーケティング活動は、組織人として必須の活動である。
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執筆者
高木 綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
呼吸療法認定士
修士(学術/MA・経営管理学/MBA)
関西医療大学保健医療学部 客員准教授
医療・介護分野の現場経験とマネジメントの専門性を活かし、リハビリテーション部門や多職種連携に関するコンサルティングを全国で展開している。
在宅領域および整形外科リハビリテーションの臨床に長年取り組み、現場の実態を踏まえた実践的な視点を強みとする。
医療機関や介護事業所の立ち上げ支援、教育体制の構築、組織マネジメント支援など、実践的かつ現場に根ざした支援を得意とする。
また、コンサルティング先に加え、リハビリ職種養成校等でも臨床からマネジメントまで幅広く講義を行い、現場で再現できる形に落とし込んだ知見の提供に力を入れている。
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