私は起業する前、大阪府内の大手医療法人で法人本部長とリハビリテーション部部長を務めていた。
当時、リハビリテーション部門には多くのセラピストが所属し、医局、看護部、介護部、事務部門など、さまざまな職種と連携しながら業務を進めていた。医療現場では多職種連携が不可欠である一方、専門性や立場の違いから意見が衝突し、軋轢が生じることも少なくない。時には、医師からセラピストが厳しく指導される場面もあった。
もちろん、適切な指導は組織に必要である。しかし、指導の範囲を超え、人格を否定するような叱責や、相手を萎縮させる言動が行われることもあった。いわゆるパワハラに近い行為である。このような問題は、決して一つの医療法人だけの話ではなく、多くの医療現場で起こり得る問題ではないだろうか。
その時、リハビリテーション部門の管理職はどう動くべきか。
私は当時、部下のセラピストに対する度を越えた叱責があった際、医局に出向き、その医師に対して「私の部下に対するパワハラは許さない」と強く抗議した。組織内の立場を考えれば、決して簡単な行動ではなかった。しかし、管理職が部下を守らなければ、誰が現場を守るのか。私はそう考えていた。
先日、その時にパワハラを受けていた部下と久しぶりに会った。その部下から、「あの時、医師に強く抗議してくれたことで、この職場で頑張ろうと思いました。部下を守ってくれる上司の下で働けたことを誇りに思っています」と言われた。
部下は、上司の言葉以上に行動を見ている。上司が組織や部下を守るために動いているのか。それとも、自らの立場を守るために保身に走っているのか。現場の職員は静かに観察している。
部下が退職を申し出た時には、すでに手遅れであることも多い。だからこそ、管理職には「部下を守る」という覚悟が必要である。部下を守ることは、甘やかすことではない。組織の正義と職場の信頼を守るための、管理職としての重要な責務なのである。この姿勢こそが、部下の安心と組織への信頼を生み出す。
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執筆者
高木 綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
呼吸療法認定士
修士(学術/MA・経営管理学/MBA)
関西医療大学保健医療学部 客員准教授
医療・介護分野の現場経験とマネジメントの専門性を活かし、リハビリテーション部門や多職種連携に関するコンサルティングを全国で展開している。
在宅領域および整形外科リハビリテーションの臨床に長年取り組み、現場の実態を踏まえた実践的な視点を強みとする。
医療機関や介護事業所の立ち上げ支援、教育体制の構築、組織マネジメント支援など、実践的かつ現場に根ざした支援を得意とする。
また、コンサルティング先に加え、リハビリ職種養成校等でも臨床からマネジメントまで幅広く講義を行い、現場で再現できる形に落とし込んだ知見の提供に力を入れている。
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