特殊で、斬新で、インパクトのある治療を、学生や新人の前でやたらと披露したがるリハビリ職種がいる。
一見すると、患者の状態は良くなったように見える。
しかし、なぜ良くなったのかがよく分からない。
説明を聞いても、やはりよく分からない。
このようなリハビリ職種は、周囲にいないだろうか。
他者が理解できない技術を展開し、自分だけが満足している。
私はこうしたリハビリ職種を「イリュージョンリハビリ職種」と呼びたい。
イリュージョンリハビリ職種が組織で厄介なのは、他のリハビリ職種と共通言語を持っていない点である。
共通言語がなければ、当然ながら連携は難しい。
理学療法士、作業療法士、言語聴覚士は、養成校時代に解剖学、運動学、生理学を学ぶ。
これらは、リハビリ職種にとっての共通言語である。
それにもかかわらず、臨床に出た途端に、基礎から離れた説明困難な治療へと傾いていく人がいる。
しかし、実はこのイリュージョンリハビリ職種は、基本に忠実なリハビリ職種を恐れている。
なぜなら、基本に忠実なリハビリ職種は、運動学、解剖学、生理学に基づいて質問をしてくるからである。
「なぜその介入を選択したのか」
「どの解剖学的構造に対してアプローチしているのか」
「その変化は運動学的にどう説明できるのか」
「生理学的にはどのような反応を想定しているのか」
このような質問に対して、基礎知識を疎かにしているリハビリ職種は答えることができない。
どれほど見栄えのする治療をしていても、その根拠を説明できなければ、専門職としての信頼は大きく揺らぐ。
むしろ、基礎知識の不足が明らかになった瞬間、周囲からの信頼を一気に失うこともある。
臨床経験が長くなるほど、独自の感覚や経験則に頼りたくなる。
しかし、ベテランになればなるほど、解剖学、運動学、生理学という基礎に立ち返ることが重要である。
治療は、見せ物ではない。
患者を良くするための専門的な営みであり、チームで共有できる知識と技術でなければならない。
イリュージョンリハビリ職種になってはいけない。
基礎を軽視せず、説明できる臨床を積み重ねること。
それこそが、信頼されるリハビリ職種に必要な姿勢である。
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筆者
高木綾一

理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
三学会合同呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
国家資格キャリアコンサルタント
株式会社Work Shift代表取締役
関西医療大学 保健医療学部 客員准教授
医療・介護分野の経営戦略や人材育成に精通し、年間100回以上の講演を実施。
医療機関や介護事業所の経営支援を通じて、組織の成長と発展をサポートする。
著書には 「リハビリ職種のキャリア・デザイン」 や 「リハビリ職種のマネジメント」 があり、リハビリ職種のキャリア形成やマネジメントの実践的な知識を提供している。
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