偶然を待つな、偶然を起こせ:リハビリ職種に必要なキャリア形成の考え方

プランド・ハプンスタンスセオリーは、キャリア形成において極めて重要な理論である。

本稿では、本理論をより実践的にキャリア形成へ活かしていくための方法について説明する。

本理論は、偶発的な出来事を意図的に生み出すように積極的に行動することで、キャリア形成の機会に恵まれると主張する。

「偶発的な出来事を意図的に生み出す」という表現は、一見すると矛盾しているように聞こえる。

ここでいう「偶発的な出来事」とは、予期せぬ出来事、予期せぬ出会い、予期せぬチャンス、予期せぬリスク、予期せぬクレーム、予期せぬ依頼など、自分が当初思い描いていなかった出来事が発生することである。

人は、何か行動を起こすことで、予期せぬ出来事に出会う。

これらの出来事には、プラスの内容もあれば、マイナスの内容もある。

しかし、プラスであっても、マイナスであっても、自身の努力によって、その出来事を意味のあるものに変えていくことが重要である。

行動により生じる出来事を恐れていては、何も始まらない。

むしろ、生じた出来事を通じて、人間は成長する。

つまり、計画的に行動を起こすことにより、予期せぬ事態をあえて起こし、その出来事を利用して成長することが大切である。

キャリアは、最初から完璧に設計できるものではない。どれだけ計画を立てても、社会の変化、人との出会い、職場環境の変化によって、進む道は変わっていく。その変化を失敗と捉えるのではなく、自分の可能性を広げる機会として受け止める姿勢が必要である。

プランド・ハプンスタンスセオリーの実践には、以下の5つのスキルが必要である。

この5つのスキルは、保守的な人間にはハードルが高い。

特に、リスク・テイキングができないと、本理論の実践は難しい。

不確実な中に確実さを探る勇気が、これからの時代では必要である。

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士は、資格で守られた保守的な職種である。

それゆえ、リスク・テイキングという発想そのものが乏しいリハビリ職種も少なくない。

しかし、資格があることは安定を保証するものではない。

医療・介護制度が変化し、社会情勢が混沌としている今、従来の働き方や価値観だけに依存することは、むしろ大きなリスクになる。

今こそ、リスク・テイキングを恐れず、学び、発信し、人と出会い、新しい役割に挑戦する時期である。

偶然を待つのではなく、偶然が起こる場所に自ら出ていくこと。

それこそが、これからのリハビリ職種に求められるキャリア形成の姿勢である。

筆者
高木綾一

理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
三学会合同呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
国家資格キャリアコンサルタント
株式会社Work Shift代表取締役
関西医療大学 保健医療学部 客員准教授

医療・介護分野の経営戦略や人材育成に精通し、年間100回以上の講演を実施。
医療機関や介護事業所の経営支援を通じて、組織の成長と発展をサポートする。
著書には 「リハビリ職種のキャリア・デザイン」 や 「リハビリ職種のマネジメント」 があり、リハビリ職種のキャリア形成やマネジメントの実践的な知識を提供している。
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