なぜPT・OT・STは看護師との連携力を高めなければならないのか

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が、看護師と連携しなければならない場面は確実に増えている。

特に、重症度の高い利用者、医療依存度の高い利用者、終末期対応が必要な利用者においては、看護師との連携・協働は欠かせない。状態変化の早期発見、リスク管理、服薬状況、栄養状態、疼痛管理、呼吸状態、皮膚トラブルなど、リハビリ職種だけでは判断しきれない情報が日々の支援に大きく関わるからである。

しかし、看護師とリハビリ職種の連携・協働は、決して簡単ではない。

当然のことながら、看護師と理学療法士・作業療法士・言語聴覚士は、同じ教育課程を経ているわけではない。それぞれの専門領域で学んできた知識や技術が異なり、現場で使う言葉や判断基準も異なる。

たとえば、看護師は全身状態、疾患管理、服薬、急変リスク、生活上の医療的ケアを重視する。一方で、リハビリ職種は動作能力、活動量、ADL、姿勢、嚥下、コミュニケーション、生活機能を重視する。どちらが正しいという話ではない。見ている視点が異なるのである。

(無断転載禁止)

そのため、連携・協働を実現するには、看護師とリハビリ職種の双方に歩み寄る努力が必要である。

地域包括ケアシステムが進展する社会では、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士は、スペシャリストとして専門性を追求するだけでは不十分である。これからは、ジェネラリストとして他職種の知見を学び、共通言語を増やしていく姿勢が求められる。

特に在宅や施設の現場では、利用者の状態は日々変化する。昨日できていたことが今日はできない、食事量が低下している、呼吸状態が不安定である、疼痛が強くなっている、意識レベルが変化している。このような場面で、リハビリ職種が看護師に適切な情報を伝えられなければ、支援の質は大きく低下する。

看護師との連携ができないことで、最も不利益を被るのは利用者である。

地域包括ケアシステムは、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の従来の在り方を大きく変えつつある。これからのリハビリ職種には、単に機能訓練を提供するだけではなく、医療・看護・介護の文脈を理解しながら、生活全体を支える力が求められる。

そのためには、社内研修や事例検討会において、看護師や介護職など他分野の学習機会を意図的に設ける必要がある。バイタルサイン、急変時対応、終末期ケア、服薬、栄養、褥瘡、感染対策など、看護師と対話するための基礎知識を身につけることは、これからのリハビリ職種にとって重要な自己研鑽である。

共通言語が増えれば、情報共有の質が高まる。情報共有の質が高まれば、利用者への支援の質も高まる。

看護師とリハビリ職種の連携は、単なるチームワークの問題ではない。利用者の生活と命を支えるための、実践的かつ専門的な協働なのである。

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執筆者
高木 綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
呼吸療法認定士
修士(学術/MA・経営管理学/MBA)
関西医療大学保健医療学部 客員准教授

医療・介護分野の現場経験とマネジメントの専門性を活かし、リハビリテーション部門や多職種連携に関するコンサルティングを全国で展開している。
在宅領域および整形外科リハビリテーションの臨床に長年取り組み、現場の実態を踏まえた実践的な視点を強みとする。
医療機関や介護事業所の立ち上げ支援、教育体制の構築、組織マネジメント支援など、実践的かつ現場に根ざした支援を得意とする。
また、コンサルティング先に加え、リハビリ職種養成校等でも臨床からマネジメントまで幅広く講義を行い、現場で再現できる形に落とし込んだ知見の提供に力を入れている。
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