PT・OT・STの新人が知っておきたいキャリアデザイン戦略

PT・OT・STとして働き始めた新人にとって、早い段階からキャリアデザインを考えることは極めて重要である。

なぜなら、日々の臨床経験をただ積み重ねるだけでは、自分がどの方向へ成長しているのかが見えにくくなるからである。

キャリアデザインとは、単に将来の職場や役職を決めることではない。

自分が何を大切にし、どのような働き方に意味を感じるのかを考え、その自己概念を表現できる現実的な進路を見つける営みである。

リハビリ職種のキャリアは、大きく垂直展開と水平展開に分けて考えることができる。

垂直展開とは、PT・OT・STとしての専門性を深めるキャリアである。

脳卒中、整形外科、循環器、嚥下、認知症、EBMなど、特定領域の知識と技術を徹底的に磨き、その分野の専門家を目指す方向性である。

垂直展開を進めるほど、臨床家としての信頼は高まり、特定領域で評価される可能性も高くなる。

しかし、その分野には同じように専門性を追求するライバルも多い。

したがって、中途半端な学習では埋もれてしまう。

専門家として評価されるためには、継続的な学習、実践、発信が必要である。

一方、水平展開とは、セラピストとして得た知識や経験を別のフィールドに応用するキャリアである。

たとえば、施設管理者、教育事業、地域づくり、介護予防事業、海外支援、コンサルティングなどが該当する。水平展開の魅力は、リハビリ職種の視点を社会の多様な場面で活用できる点にある。

ただし、臨床経験や専門性が不十分なまま水平展開を目指しても、提供できる価値は弱くなる。セラピストとしての土台があるからこそ、他分野でも説得力のある仕事ができるのである。

最も社会的評価が高いのは、垂直展開と水平展開の両方を兼ね備えたキャリアである。

特定領域の専門性を持ちながら、その専門性を教育、事業、組織運営、コンサルティングなどに展開できる人材である。

いわば、専門職でありながら総合職的な力も持つ存在である。

このレベルに到達するためには、臨床能力だけでなく、マーケティング、ブランディング、マネジメント、発信力も必要となる。

新人PT・OT・STは、まず自分がどのような仕事にやりがいを感じるのかを考えるべきである。

専門性を深めたいのか、広いフィールドで活躍したいのか。あるいは将来的に両方を目指すのか。

正解は一つではない。

重要なことは、自己概念に合った進路を選び、その進路に必要な努力を意図的に積み重ねることである。

キャリアは偶然に任せるものではない。自ら設計し、育てていくものである。

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筆者
高木綾一

理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
三学会合同呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
国家資格キャリアコンサルタント
株式会社Work Shift代表取締役
関西医療大学 保健医療学部 客員准教授

医療・介護分野の経営戦略や人材育成に精通し、年間100回以上の講演を実施。
医療機関や介護事業所の経営支援を通じて、組織の成長と発展をサポートする。
著書には 「リハビリ職種のキャリア・デザイン」 や 「リハビリ職種のマネジメント」 があり、リハビリ職種のキャリア形成やマネジメントの実践的な知識を提供している。
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