病気や障害を持つ高齢者が、住み慣れた地域や自宅で生活を継続することは、いまや特別なことではなくなった。地域包括ケアシステムの推進により、重度の要介護状態となっても在宅生活を支える方向性は一層強まっている。近年は、高齢化の進行に加えて、認知症高齢者の増加、在宅医療と介護の連携強化、地域で支える体制整備が進んでおり、在宅系リハビリテーションの重要性はさらに高まっている。
そのため、在宅系リハビリテーションサービスの普及は著しく、近い将来、リハビリ職種の主戦場が在宅へ大きく移っていく可能性は高い。在宅医療の需要増加に対しては、ICT活用や多職種連携による効率化も重視されており、在宅現場はこれまで以上に専門職の実践力が問われる領域になっている。
また、病院や施設と在宅では、リハビリテーションの目標が異なることも多い。病院や施設では機能回復や身体能力の改善が前面に出やすい一方で、在宅では「その人の生活をどう維持するか」「家庭の中でどう安全に暮らし続けるか」が中心的な課題となる。
在宅リハビリテーションの目標の一つに、「在宅生活の継続」が挙げられる。
在宅生活の継続が困難になる理由はさまざまであるが、その一つに「家族や介護者の介護疲れ」がある。
ときに「介護疲れ」は、家族や介護者に著しい精神的ストレスをもたらす。実際、国も家族介護者支援の必要性を重視しており、地域包括支援センターを含めた相談支援体制の整備や、家族介護者支援マニュアルの周知を進めている。そうした背景を踏まえると、介護疲れの緩和は在宅生活継続のための重要な課題である。
リハビリテーション専門職は、ADLやIADLに関する専門性を持つ職種である。そのため、家族や介護者に対して、生活動作の工夫、介助方法、環境設定、福祉用具活用などについて、専門的な提案や助言を行うことが期待されている。
しかし、実際には、下図のように家族や介護者へ適切な提案や助言ができないリハビリ職種も少なくない。
家族や介護者に適切な提案や助言を行うためには、生活関連動作やトランスファーに関する幅広い知識が必要である。
しかし、養成校教育や卒後教育において、こうした領域を十分に学ぶ機会は決して多くない。
したがって、在宅に関わるリハビリ職種は、主体的に家族支援・介護者支援を学ぶ必要がある。特に今後は、対象者本人への介入だけでなく、家族介護者の負担軽減、多職種との連携、地域資源の活用まで含めて支援できるかどうかが、在宅現場におけるリハビリ職種の価値を左右すると考えられる。
在宅分野を主戦場とするリハビリ職種には、対象者本人だけでなく、家族や介護者の目線を常に意識してほしい。
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筆者
高木綾一

理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
三学会合同呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
国家資格キャリアコンサルタント
株式会社Work Shift代表取締役
関西医療大学 保健医療学部 客員准教授
医療・介護分野の経営戦略や人材育成に精通し、年間100回以上の講演を実施。
医療機関や介護事業所の経営支援を通じて、組織の成長と発展をサポートする。
著書には 「リハビリ職種のキャリア・デザイン」 や 「リハビリ職種のマネジメント」 があり、リハビリ職種のキャリア形成やマネジメントの実践的な知識を提供している。
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