経営者と話をせずにリハビリテーション部門の改善など不可能

経営者が何も動いてくれない。
経営者はすべて丸投げである。
院長は現場のことを知らない。

このような不満を、リハビリ職種から耳にすることは少なくない。リハビリテーション部門の方針や運営に関する明確な指示が経営者や経営幹部から示されないため、何を拠り所に部門を運営すればよいのかわからない、という声である。現場としては戸惑いや不安が生じやすく、それが不満として表出するのは自然なことである。

しかし、そのような不満を口にするリハビリ職種に限って、経営者や院長と直接コミュニケーションを取る機会が圧倒的に少ないことも多い。指示や命令がないのであれば、受け身の姿勢で待つのではなく、リハビリ職種の側から経営者や経営幹部に対して、経営や運営に関する質問を行うべきである。必要な情報が自然に降りてくることを期待するだけでは、現状は変わらない。

そもそも、経営者や経営幹部の仕事は、リハビリテーション部門だけを管理することではない。人事、総務、経理といった法人運営の基幹業務に加え、複数の医療・介護事業所や各部門全体の管理も担っている。したがって、経営者や経営幹部から溢れるほどの情報が、常にリハビリテーション部門へ流れてくることは現実的ではない。現場が必要とする情報のすべてを、相手から自動的に提供してもらえると考えること自体に無理がある。

したがって、情報を待つのではなく、情報を取りに行く姿勢が必要である。経営者や院長と膝をつき合わせて、リハビリテーション部門の運営について真剣に話し合うことで、相手が何を重視し、何に困り、どこに期待しているのかという本音も見えてくる。その本音を把握できれば、現場のマネジメントはより実効性のあるものになる。単に不満を言うだけではなく、相手の意図を把握し、それに応じて部門運営を調整していくことが管理職には求められる。

仮に経営者が丸投げの姿勢であるならば、それを嘆くだけでは意味がない。むしろ、リハビリテーション部門として必要な権限を得て、自ら物事を動かす契機と捉えるべきである。一方で、経営者に明確なビジョンがあるのであれば、その方向性を理解し、協調的に部門運営を進めていく必要がある。いずれにしても、最初に必要なのは憶測ではなく対話である。

まずは、経営者としっかり話すことである。そこからリハビリテーション部門の運営改善は始まる。現場が変わらないのではなく、現場が動いていないだけという場合もある。だからこそ、受け身ではなく能動的に情報を取りに行く姿勢が重要である。とにかく、情報を取りに行くことである。

管理職・リーダーとしてのマネジメントを学びたい方 → セミナー一覧はこちら

執筆者
高木 綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
呼吸療法認定士
修士(学術/MA・経営管理学/MBA)
関西医療大学保健医療学部 客員准教授

医療・介護分野の現場経験とマネジメントの専門性を活かし、リハビリテーション部門や多職種連携に関するコンサルティングを全国で展開している。
在宅領域および整形外科リハビリテーションの臨床に長年取り組み、現場の実態を踏まえた実践的な視点を強みとする。
医療機関や介護事業所の立ち上げ支援、教育体制の構築、組織マネジメント支援など、実践的かつ現場に根ざした支援を得意とする。
また、コンサルティング先に加え、リハビリ職種養成校等でも臨床からマネジメントまで幅広く講義を行い、現場で再現できる形に落とし込んだ知見の提供に力を入れている。
経営相談・セミナー依頼はお気軽にお問い合わせください。

関連記事