筆者は全国各地で在宅リハビリテーションに関するコンサルティングを行い、大阪府内では実際に訪問リハビリテーションも提供している。
そのような活動の中で、しばしば危うさを感じる場面に出会う。
それは、利用者の全身状態や疾患リスクへの配慮が不十分なまま、動作分析、下肢筋力強化、歩行練習、活動訓練、参加支援といったリハビリテーションを進めようとする場面である。
もちろん、これらはいずれもリハビリテーションにおいて重要な視点である。
しかし、在宅療養の現場では、それ以前に優先して確認しなければならないことがある。
すなわち、利用者がいま安全に介入を受けられる状態にあるのかという点である。
近年、在宅療養利用者は高齢化と重症化が進んでいる。
呼吸不全、心不全、糖尿病、膠原病、消化器疾患、がんなど、生命に直結しうる疾患や病態を抱えながら生活している利用者は少なくない。
そのような利用者に対して、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士がまず担うべき役割は、運動や活動を追加することだけではない。
全身状態を把握し、異常の兆候を見逃さず、悪化を防ぐためのリスク管理とリスク緩和を実践することである。



