理学療法・作業療法・言語聴覚療法では評価が重要であるから、評価で問題点を特定できれば、その後の介入はある程度対応できると考えるリハビリ職種がいる。
評価が重要であることに異論はない。
評価が適切に行われなければ、対象者に生じている機能障害、活動制限、さらにはそれらを引き起こしている主要因を的確に同定することはできない。
したがって、評価が重要であることは間違いない。
しかし、このような考え方は、明らかに治療手技の重要性を軽く見ている。
なぜなら、臨床は評価だけで完結するものではなく、評価によって抽出された問題点に対して、どのような治療手技を、どの順序で、どの強度・頻度・方法で適用するかによって結果が左右されるからである。
評価は問題点を明らかにする営みであり、治療手技はその問題点に変化を生じさせる営みである。
両者は役割が異なるのであって、どちらか一方だけで治療成果は成立しない。
治療手技が展開できなければ、評価で抽出した機能障害に対して具体的な介入ができないため、理学療法・作業療法・言語聴覚療法は十分な成果に結びつかない。
評価で終わる臨床は、診断仮説を立てたまま検証も修正も行わないことと同義であり、結果として対象者の生活機能の改善につながらない可能性が高い。
したがって、治療手技の展開は評価と同様に重要であり、評価と治療手技の間に優劣はない。
むしろ臨床を理論的に整理すれば、評価と治療は連続した一つの過程である。
評価によって仮説を立て、治療手技によってその仮説に基づく介入を実行し、その反応を再評価して仮説を修正する。
この一連の循環が成立して初めて、臨床は科学的かつ実践的な営みになる。
つまり、評価だけに偏ることも、治療手技だけに偏ることも、いずれも不十分である。
時折、高らかに評価結果から機能障害を抽出したことを語るリハビリ職種がいるが、そのリハビリ職種の治療を見ると全くうまくできていないことがある。
評価で鋭い分析を語れても、実際の介入場面で対象者の反応を引き出せない、負荷量を調整できない、動作学習につなげられない、あるいは環境設定や声かけが不十分であるならば、それは臨床家として完成しているとは言えない。
知識としての理解と、実践としての技術は別物であり、後者が伴わなければ対象者に利益をもたらすことはできない。
評価は一流、治療は二流という話ではない。
評価も治療も一流でなければ、リハビリ職種として自立しているとは言えない。
なぜなら、対象者に価値を提供する最終地点は、評価表を埋めることでも、問題点を列挙することでもなく、実際に機能、活動、参加に変化を生じさせることだからである。
そのためには、評価の精度と治療手技の精度がともに高い水準でかみ合わなければならない。
評価だけ優れていても結果は出ないし、治療手技だけ優れていても見当違いの介入になれば成果は乏しい。
したがって、評価技術と治療技術の両方を高度なレベルまで向上させなければならない。
そのため、施設内、施設外における研修会では、評価技術と治療技術の両方をバランスよく受講することが必要である。
さらに言えば、評価系の研修ばかりを受けて満足するのではなく、実技、介入展開、症例への応用、フィードバックを伴う学習機会を意図的に確保することが重要である。
逆に、治療手技ばかりを追いかけても、その適応や禁忌、優先順位を判断できなければ臨床の質は上がらない。学ぶべきは、評価と治療をつなぐ思考過程そのものである。
また、リハビリ職種は評価技術と治療技術をバランスよく習得しているかどうかを常に棚卸しする必要がある。
自分は問題点を抽出する力に偏っていないか、あるいは治療手技の引き出しは十分か、介入後の反応を再評価して次の一手につなげられているか。
そのように自らの実践を点検し続けることが、専門職としての成長には不可欠である。
評価と治療のどちらか一方を誇るのではなく、両者を高水準で統合できてこそ、真に自立したリハビリ職種と言える。
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投稿者
高木 綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
呼吸療法認定士
修士(学術/MA・経営管理学/MBA)
関西医療大学保健医療学部 客員准教授
医療・介護分野の現場経験とマネジメントの専門性を活かし、リハビリテーション部門や多職種連携に関するコンサルティングを全国で展開している。
在宅領域および整形外科リハビリテーションの臨床に長年取り組み、現場の実態を踏まえた実践的な視点を強みとする。
医療機関や介護事業所の立ち上げ支援、教育体制の構築、組織マネジメント支援など、実践的かつ現場に根ざした支援を得意とする。
また、コンサルティング先に加え、リハビリ職種養成校等でも臨床からマネジメントまで幅広く講義を行い、現場で再現できる形に落とし込んだ知見の提供に力を入れている。
セミナー講師としても多数登壇し、現場の課題解決につながる知見の共有を行っている。
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