問題リハビリ職種はなぜ生まれるのか:人材育成失敗の本質は標準化の軽視である

リハビリテーション部門の人材育成がうまくいっていない事例は少なくない(図1)。

利用者からのクレームが多い。
仕事が遅く、同僚からの信頼も薄い。
他部門からも苦情が入る。

そのようなリハビリ職種が一人いるだけで、現場の空気は悪化し、組織全体の生産性と心理的安全性は低下する。

チームは協働ではなく防衛的になり、結果として利用者への価値提供も不安定になる。

図1 質の低いリハビリ職種

しかし、問題のあるリハビリ職種を抱える部門が、必ずしも教育を怠っているわけではない。

研修も行い、面談も実施し、指導も重ねている。

それでもなお、問題は再発する。

なぜか。

まず考えるべきは、問題の定義が曖昧であることである。

例えば、接遇が悪く利用者から嫌われているリハビリ職種がいるとする。

組織はその人物を問題リハビリ職種と認定する。

それは、組織が求める接遇水準に達していないからである。

ここで重要なのは、求める水準が具体化されているかどうかである。

人材育成とは、単に努力を促すことではない。

目標管理理論や行動基準理論に基づけば、行動は具体的で測定可能な基準が示されて初めて改善可能となる。

抽象的な指導では、行動変容は起こらない。

特に接遇は、文章化や数値化が難しい領域である。

そのため、丁寧に、優しく、といった曖昧な表現で終わりがちである。

しかし、それでは標準化は進まない。

具体的な挨拶の仕方、声の大きさ、説明の順序、クレーム時の初動対応など、行動レベルまで落とし込む必要がある。

同様に、リハビリ技術、他職種連携、記録業務においても、暗黙知のままではなく形式知化し共有することが重要である。

ナレッジマネジメント理論が示す通り、暗黙知の放置は組織格差を生む。

人材育成の本質は個人の資質の問題ではなく、基準の設計と運用の問題である。

あなたの組織には、明文化されたサービス基準が存在するだろうか。

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執筆者
高木 綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
呼吸療法認定士
修士(学術/MA・経営管理学/MBA)
関西医療大学保健医療学部 客員准教授

医療・介護分野の現場経験とマネジメントの専門性を活かし、リハビリテーション部門や多職種連携に関するコンサルティングを全国で展開している。
在宅領域および整形外科リハビリテーションの臨床に長年取り組み、現場の実態を踏まえた実践的な視点を強みとする。
医療機関や介護事業所の立ち上げ支援、教育体制の構築、組織マネジメント支援など、実践的かつ現場に根ざした支援を得意とする。
また、コンサルティング先に加え、リハビリ職種養成校等でも臨床からマネジメントまで幅広く講義を行い、現場で再現できる形に落とし込んだ知見の提供に力を入れている。
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