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新製法インフルワクチン 世界一の工場は日本にあるのに、使えない!

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先週末、「インフルエンザ予防に懸念、ワクチンの変異で効果減退」という報道がありました。その中で言及されていた、従来とは製法の異なるワクチン、実は世界一の規模の工場が日本にあるのです(!)。ところが日本では承認が下りず、そこで製造されたワクチンを日本人は使うことはできません。

堀米香奈子 ロハス・メディカル専任編集委員

現在、インフルエンザワクチンの不足があちこちで言われています。我が子たちのかかりつけ医でも、なかなか予約を取れません。

しかも例年、小学生以下は2回接種が普通なのに、今年はその医療機関では「小学校高学年は1回で」と言われてしまいました。友達のお母さんによれば、小学校3年生でも体格の良い子は「1回で」と言われたのだとか。我が家の長男は小学5年ながら、体が非常に小さいせいか、なぜか2回接種となりました。

1回接種か2回接種か、体格で決めてしまうなんて…。たしかに体格は発育を反映している部分も大きく、であれば免疫機構も発達している可能性は高いので、完全には間違いとは言えません。でも、ちょっと乱暴だな、と思っていた矢先に出てきたのが、冒頭の報道です。

米疾病対策センター(CDC)の推計によれば、昨シーズンのインフルエンザをワクチン接種で予防できた確率は42%にとどまる。その原因は、インフルエンザA型(H3N2)のワクチン株に起きた変異だったという研究結果が、米国科学アカデミー紀要にこのほど発表された。 インフルエンザワクチンの変異は、現在最も一般的な鶏卵を使った製造工程に起因する。

これに対し、昆虫や哺乳類の細胞を使って製造されたワクチン(プロテイン・サイエンシズ社「フルーブロック」)を動物と人に投与したところ、優れた抗体反応があり、流行しているインフルエンザA型(H3N2)のウイルスに結合して無力化できたそうです。

報道では、

ただ、現代のワクチンは鶏卵を使って量産する態勢を確立していることから、細胞を使った製造に切り替えようとすれば、製造設備を切り替えるだけでも膨大な経費がかかり、問題の解決は簡単ではない。

としていますが、実はこの「フルーブロック」、世界最大規模の工場が日本にあるのです。2013年に竣工し、「フルーブロック」も同年、米国食品医薬品局 (FDA)の承認を得ています。

ところがその後、国内でフルーブロックがPMDAの承認を得た、という話は聞こえてきません。調べてみると、PMDAからは「リスク・ベネフィットの観点に鑑み、本剤の臨床的意義は極めて乏しく、審査の継続はできない」と撥ねつけられてしまった様子。それを受けて共同事業者だったアステラス製薬が下りてしまい、この件は頓挫してしまったようです。

従来の培養法ではワクチン製造に6カ月かかるところ、フルーブロックは2カ月で作ることができます。流行する型が分かってからでも間に合うのは大きなメリットであるはず。ワクチン不足なら、なおのこと需要はあるに違いないのに、です。

国内のワクチン産業が衰退に至った要因をきちんと突き止めることなく、国内技術に固執してきた厚労省のワクチン行政については、以前ロハス・メディカルで指摘した通りです(「本当にできるか 税金で企業育成 ~ワクチン開発で助成金返金騒動」)。

なお、催奇形性が問題になっているのでは、との話も耳にしたので調べてみると、FDA薬剤胎児危険度分類基準ではカテゴリーBに分類されているようです。これは、「人での危険性の証拠はない」という安全性レベル。

詳しく見ると、「動物生殖試験では胎仔への危険性は否定されているが、ヒト妊婦での対照試験は実施されていないもの。あるいは、動物生殖試験で有害な作用(または出生数の低下)が証明されているが、ヒトでの妊娠期3ヵ月の対照試験では実証されていない、またその後の妊娠期間でも危険であるという証拠はないもの」とのことです。

動物では催奇形性が出ている可能性は否定できないものの、妊娠可能性のない人が使う分にはまず問題ない、とも取れます。ワクチンをせっかく摂取できても奏効率が40%台ではお話になりません。様々な型のインフルエンザウイルスとの接触を考えれば、罹患する可能性はぐんと高くなります。

施設入居中の高齢者などは、インフルエンザが施設内で流行すれば亡くなる可能性は一般に比べてぐんと高まってしまいます。その危険性と比較して、このワクチンの危険性は問題にならないのであれば、使用を認めるべきではないでしょうか。培養にも時間がかからないため、流行している型に合わせて製造したものを接種できることも、大きなメリットです。

既にFDAでは承認されているわけですから、事実上、岐阜にある工場は海外需要を満たすための設備と言えます。パンデミックの時、日本で作られたワクチンで日本人だけが守られない、なんて笑い話にもなりませんよね。今後の動向を見守りたいと思います。

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(2017年11月16日「ロバスト・ヘルス」より転載)

Source: ハフィントンポスト

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著者紹介 著者一覧

genki

genki

 小学校元教諭。6年間、教壇に立つが日々追われる実務、長引く会議、閉塞的な職場に、次第に心が疲弊していく。やがてブラックな職場で自殺願望すら生まれ、このままでは死ぬ前に後悔する人生になってしまうと思い退職を決意。小学校の先生を辞め、自力で稼ぐと決断する。
 そして、幸運な事にビジネスの権威と出会う機会に恵まれ、直接指導を受ける機会を得る。この決断がたった1つの奇跡的な出会いを引き寄せ、その後は師に教わったビジネスノウハウをひたすら実行し続け会社の発展に至る。
 会社設立から3年後、デンマークで最高峰の働き方が実施されている企業を現地視察。管理職、社員が共に幸せになれる8つのエッセンスを欧州より持ち帰り、自身の会社を通して日本中に広めようと奮闘中。
 埼玉県さいたま市出身。既婚。早く子供が欲しく妊活真っ最中の1983年5月生まれ。趣味は空手、柔術、ウクレレ、食べること、バターコーヒー。好きな言葉は下座達観。

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